調査・データ不動産業界向けデジタルサービスを手がけるestie(エスティ、東京都港区)は23日、日本政策投資銀行(DBJ)グループのコンサルティング会社、価値総合研究所(東京都千代田区)と共同で、オフィスビル賃料のグリーンプレミアムに関する共同分析結果をまとめたと発表した。環境不動産認証を取得したビルには、募集賃料が上昇し、リーシング期間が短縮する傾向がみられた。分析結果は、今月9日に開かれた不動産サステナビリティセミナー(DBJなど主催)で紹介された。
近年、不動産業界でもサステナビリティや人的資本への関心が高まっており、オフィス選定時に環境配慮対応を重視するテナントが増えている。価値総合研究所の調査では、大企業を中心にテナント企業の8割以上が環境配慮対応を重要視し、賃料負担についても年々許容度が高まっていることが明らかになった。また、人材確保や生産性向上の観点から、テナント企業の4割に人材獲得に向け、オフィス環境の整備を重視する傾向がみられる。
今回の分析では、estieが保有するエリア情報や建物情報、時系列の募集情報を基に、環境不動産認証の取得が募集賃料およびリーシング期間に与える影響を検証した。東京23区のオフィス募集データを対象に、傾向スコア法や操作変数法など複数の推定手法を組み合わせて推定を行い、その結果、東京23区内にあるビルでは、環境不動産認証を取得したビルは募集賃料が7.2%上昇し、リーシング期間は25.4%短縮する傾向が示された。
また、テナント企業の環境配慮・ウェルビーイングニーズの高まりを踏まえ、環境性能以外のビル要素にも分析範囲を広げた結果、レジリエンスやウェルビーイングといった非環境要素についても、賃料に一定の寄与する傾向がみられた。
これらから「テナント企業は環境性能だけでなく、働く環境の快適性や安全性、多様性への配慮といった複合的な価値を重視しながらオフィスを評価している可能性がうかがわれる」とし、「サステナビリティや人的資本投資の重要性が高まるなかで、オフィスが単なる執務空間ではなく、従業員体験や組織文化の形成、人材獲得力の向上に寄与する経営資源として再評価されている」と結論付けた。
同社では「今回の結果を受け、引き続き推定モデルやデータベースの精度向上を図りながら、継続して分析に取り組んでいく」としている。
分析結果の詳細については「不動産サステナビリティセミナー2025」の公式サイトで公開されている。
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