M&A日本調剤は17日、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(東京都港区)による、同社に対する株式公開買い付け(TOB)が成立したと発表した。TOBのために設立されたAP86が24日付で日本調剤株の72.8%を保有する。今後、創業家から株式の譲渡を受けるなどの手続きを進め、AP86が完全子会社化する。東京証券取引所プライム市場に上場している日本調剤は上場廃止となる。
AP86には米国とシンガポールに拠点を置く投資会社のLYFEキャピタルも出資し、出資比率はアドバンテッジパートナーズが51%となる。
TOB価格は1株当たり3927円で、買い付け期間は8月1日から9月16日までだった。日本調剤はTOBに賛同し、6割の株式を保有していた創業家も、全株式を譲渡することで合意している。
日本調剤は1980年、調剤薬局の経営を目的に北海道札幌市で設立され、その後全国に事業展開して、東京に本社を移転した。8月1日時点で全国に759店舗を展開し、医薬品製造販売事業も手がけている。しかし、電子処方箋やオンライン服薬指導など医療DX(デジタルトランスフォーメーション)が進むなか、競争の激化や人材確保の難しさ、地域医療連携への対応などで課題を抱えていた。また、子会社の長生堂製薬がことし3月、ジェネリック医薬品の製造管理を巡って行政処分を受けたことも経営の悪化を招いていた。
このため、同社は経営再建の方策を模索していたが、投資会社の傘下に入り非上場化することで、デジタル化やDX推進への積極的な投資や優秀な人材の確保・育成、新規事業領域への展開などを図ることにした。
今後は、ファンドの支援を受けながら、中小薬局のM&Aを進め、在宅調剤への対応やDX、オペレーションの自働化などへの取り組みを強化していく。医薬品製造販売事業でも、製造工程の改善に取り組み、課題の早期解決に取り組むとともに、製造品目の見直しを進め、収益性が高い受託案件の獲得を目指す。
薬剤師や医師、看護師など医療従事者の派遣・紹介事業についても、採用強化や退職防止による人材プールの拡大を図り、マッチングの自動化などの効率的な営業体制の構築で業績の改善を図る。
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