調査・データトヨタ自動車と、日本郵船グループのユニエツクスNCT(東京都中央区)は25日、トヨタの物流DX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューション「One Stream」(ワンストリーム)の導入事例に関するオンラインセミナーを開催した。ユニエックスNCTの六甲輸出入センター(神戸市東灘区)が同ソリューションを導入したことで、紙と無線が中心だった現場の情報共有をデジタル化し、業務の属人化解消と作業員の自主性を引き出す効果が生まれている。

▲One Stream、前後工程を連携する4つのサービス(出所:トヨタ自動車)
同センターは敷地面積2万4000平方メートルの広大な施設で、コンテナベイを通常30基使用する。導入前は、事務所と現場間の指示や報告を紙媒体でおこない、広大な敷地内の移動に多くの時間を要していた。作業の進ちょく確認も無線が中心で、「一日中、事務所中が無線ばっかりになっている感じだった」と坂本所長代理は振り返る。管理側も貨物ごとの作業時間といった定量的なデータがなく、人員配置などを「現場の肌感覚」に頼らざるを得ない課題を抱えていた。

▲ユニエックスNCT:輸出入センターの施設(出所:トヨタ自動車)
One Stream導入後、これらの課題は大きく改善した。現場担当者が持つ端末で作業状況をリアルタイムに共有できるため、事務所にいながら全体の進ちょくを正確に把握する。これにより、顧客や運送会社からの「作業はいつ終わるか」といった問い合わせにも、画面を見ながら即答が可能になった。トラックドライバーは作業終了時刻を予測しやすくなり、結果として不要な待機時間の削減につながっている。また、現場全体の状況が見える化されたことで、作業の段取りがスムーズになり、トラックの受け入れ効率も向上した。
業務効率化の側面では、これまで頻繁だった無線や口頭での進ちょく確認が大幅に削減された。従来、デジカメで撮影し、夕方に手作業で整理・送付していた貨物写真の管理業務も不要になった。システム上でコンテナごとに写真が自動で整理されるため、管理業務が効率化され、残業時間の削減にも貢献している。
最も大きな変化は、現場作業員の意識と行動だ。システム上で誰もが全体の作業状況を把握できるようになった結果、「現場作業員が自ら次の作業を判断するなど、主体的・自主的な動きが生まれた」と清水所長は指摘する。これまで特定の担当者の経験や勘に依存していた業務の属人化が解消され、担当者不在時でもチーム全体でフォローしやすい体制を構築した。
今後は、蓄積した作業時間データを分析し、生産性の可視化や顧客への適正な料金提示のエビデンスとして活用していく方針だ。さらに、運送会社が利用するドレージシステムや、社内の基幹システムと連携させることで、サプライチェーン全体のさらなる効率化を目指す。
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