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採用定着と長時間待機解消、国交省説明会で共有

2025年9月29日 (月)

行政・団体国土交通省トラック・物流荷主特別対策室は26日、トラック物流問題解決に向けたオンライン説明会を行った。新しい法制度への対応に苦慮する荷主企業、物流業者、トラック運送事業者に向け、疑問を持たれることが多いポイントや支援制度について説明を行うために定期的に開催しているもの。午前の部、午後の部に分けて開催され、午前の部では福岡県粕屋町のGライン、午後の部は成田国際空港(千葉県成田市)とシーイーシー(東京都渋谷区)の取り組み事例が紹介された。

説明会では国交省からの説明のほか、参加者が参加申込の際に投げかけていた質問への回答が行われたほか、チャットによる質疑応答も行われた。

Gラインの事例では、「従業員エンゲージメントを高める採用ブランディング&インナーブランディング」と題し、物流未経験者に的を絞った採用活動と、広報活動が紹介された。

同社では広告、SNS、ホームページを活用して、自社の情報を発信。それぞれの特性を生かして効果的な広報活動を行うことで、求職潜在層にアプローチして効率的に採用活動を行うとともに、ミスマッチによる離職を低減。また、既存社員もSNSに登場する機会が増えることで同社への帰属意識が高まるとともに、「見られる存在」の意識が生まれることで事故発生件数も減少しているという。

▲Gライン荒巻敬雄社長(出所:Gライン)

同社の荒巻敬雄社長によると、「以前は採用がうまくいっても離職が続いた時期があった」が、自社のミッション・ビジョン・バリューの策定、入社後どのようにステップアップできるかのキャリアパスプランを明確化、短時間高収益モデルの確立などにより定着率を向上させたという。

そのほか、未経験で入社したドライバーには150時間の添乗を行うなど、丁寧な教育が行われていることが紹介された。

続いて、シーイーシーと成田国際空港の事例。輸出入貨物を扱うトラックが集中する時間帯に長時間の待機が常態化し、ドライバーの労働環境や空港周辺道路への影響が懸念されてきた。こうした課題に対し、シーイーシーのバース管理システム「LogiPull」(ロジプル)が導入され、車両の受付から上屋への誘導までを一元的に管理する仕組みを構築した。

▲成田国際空港営業部門貨物営業部貨物営業グループの大島隆寛主任(出所:国土交通省)

具体的には、待機場入り口に設置したカメラで車両のナンバーを自動認識し、あらかじめ登録された予約情報と照合。空きバースがある場合にはサイネージに行先を表示して直ちに搬入を促し、混雑している場合には待機場に留め置き、順番が来ると自動音声電話で上屋への移動を指示する。こうした流れを自動化することで、現場のオペレーションが効率化され、従来の「行き当たりばったり」な搬入が大きく改善された。

導入効果は数字にも表れている。システム稼働直後から搬入車両の予約率は96%に達し、現在ではほぼ100%に到達。結果として、トラックが無秩序に待機する光景はほぼ解消され、上屋の受け入れ効率も向上した。成田空港がシーイーシーを選んだ背景には、システムの標準機能にとどまらず、各上屋や利用事業者ごとの運用特性に合わせて柔軟にカスタマイズできる対応力がある。また、成田国際空港営業部門貨物営業部貨物営業グループ主任の大島隆寛氏は、「航空貨物はステークホルダーが多く、調整が非常に難しい。それが現段階で大きな効果を上げているのは、導入に当たってベンダーであるシーイーシーが上屋利用企業、運送事業者などから細かな聞き取りを行って要件定義をしたこと、当社とも密にコミュニケーションを取って調整を行った結果だろう」と語った。

国交省担当者は、「成田国際空港のようにデジタル技術を活用することで荷待ち待機を解消した事例がある一方で、バース予約システムを導入しても荷待ち待機が減っていないとのドライバーの声が多く寄せられている」と語り、「現状に合っていない運用や、荷主側と運送業者の合意形成が不十分なケースも多く見られる。決裁権を持つ人を導入チームの責任者に置き、自社で責任を持って導入・運用を行ってほしい」と呼びかけた。

オンライン説明会の次回開催は10月27日の10時からと15時から。

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