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郵便がロジスティードHD株19.9%取得、KKRと日立は株主残留

日本郵便とロジスティードが資本業務提携

2025年10月6日 (月)

M&A物流業界に激震が走った。日本郵便は6日、3PL国内最大手のロジスティードホールディングス(HD)の株式19.9%(経済持分ベース)を、筆頭株主である米投資ファンドKKRから取得するため、資本業務提携契約を締結したと発表した。株式取得額は1423億円で、ことし12月以降に実行する。これにより、ロジスティードHDの株主構成は、KKRが議決権所有割合で75.1%、日本郵便が14.9%、日立製作所が10.0%となる。

▲資本業務提携の構図(出所:ロジスティード)

郵便・物流事業の根幹であるラストワンマイルに強みを持つ日本郵便と、3PLおよび国際物流に秀でたロジスティードが手を組むことで、両社は「ラストワンマイル、国内物流及び国際物流のすべてを一気通貫で運営できる総合物流企業としての事業基盤を構築する」としている。ロジスティードが掲げる「日本で勝ち、世界で伸ばす」という成長戦略に、日本郵便の持つ国内配送網と、その傘下である豪トールの国際物流ネットワークが加わることで、巨大な物流連合が誕生する。

今回の提携は、両社の経営戦略が合致した結果といえる。日本郵便を傘下に持つ日本郵政グループは、中期経営計画「JPビジョン2025+」で「共創プラットフォーム」の実現を掲げ、グループ外の企業との連携による物流事業の強化を急いでいた。ことし6月には特積み大手のトナミホールディングスを完全子会社化しており、今回のロジスティードへの出資は、その成長戦略をさらに加速させる一手だ。

▲日本郵便側の説明資料(出所:日本郵便)

一方のロジスティードは、2030年に売上収益1兆5000億円、海外比率50%以上を目指す長期ビジョン「LOGISTEED 2030」を掲げ、その実現に向けたケイパビリティーの補完を模索していた。同社のリリースで中谷康夫CEOが「日本郵政グループの国内輸配送におけるリソース・ノウハウと、当社の3PLにおけるオペレーショナル・エクセレンス、物流DX技術が融合することにより、物流の2024年問題への社会問題解決にとどまらない、より強靭で持続可能な双方の物流基盤を創出できる」とコメントしている通り、日本郵便の持つ国内アセットは、同社の「日本で勝ち」抜くための強力な武器となる。

両社が公表した資料からは、ラストワンマイル、国内物流、国際物流の3領域における具体的な協業イメージが読み取れる。ラストワンマイル領域では、互いの既存顧客への共同提案や、車両・拠点の相互利活用、さらにはロジスティードが持つ運行・受発注・請求管理システムを日本郵便側に導入することなどが検討されている。国内物流領域でも同様に、車両・拠点の相互活用や資材の共同調達に加え、日本郵便傘下のJPロジスティクスやトナミホールディングスを含めたグループ全体での一体的な提案を進める方針だ。

そして、ロジスティードが「世界で伸ばす」ための鍵を握るのが、国際物流領域でのシナジーだ。日本郵便傘下で国際物流を担うトールとロジスティードが連携することで、共同での新規顧客開拓やフォワーディングレーンの共同調達、海外拠点や車両の相互活用などが可能になる。ロジスティードの中谷CEOはかねてより海外事業の強化を最重要課題の一つに挙げており、トールとの連携は、グローバル市場での競争力を一気に高める可能性を秘めている。

▲ロジスティード側が提示した協業イメージ(出所:ロジスティード)

日本郵便はロジスティードHDの持分法適用会社とはならないものの、ロジスティードへ取締役1名を派遣し、強固なパートナーシップを築いていく。物流の24年問題への対応が急務となるなか、国内最大のラストワンマイル網を持つ巨大企業と、国内最大の3PL事業者が手を組むインパクトは計り知れない。両社の「共創」が、日本の物流業界の構造をどう変えていくのか、その動向から目が離せない。

日本郵便がロジスティード株19.9%取得、業務提携

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