ロジスティクス南日本運輸倉庫(東京都中野区)は外国人材の活用を本格化する。同社は2022年に開始したベトナム人学生を対象にしたインターンシップ制度などを通じて、外国人若手人材の囲い込みを進める。日本の物流現場の労働力を確保するとともに、将来の海外進出を見据えて、冷凍・冷蔵の低温帯で管理する食品物流の業務ノウハウを習得した外国人幹部候補人材を育成するのが目的だ。
物流業界全体の人手不足を背景としながらも 、同社は即戦力の確保とは一線を画し、「将来のグローバル人材育成」 という長期的視点に立った独自の取り組みを進めている。特に22年から開始したベトナムの大学生向けインターンシップでは、すでにインターン経験者が新卒で入社する成果も出始めている。

▲インターン生の集合写真(出所:南日本運輸倉庫)
同社のインターンシップは、インターン生送り出し支援企業のアプライズ(品川区)と提携して実施する。20年には同社とベトナムに合弁会社を設立するなど、関係を強化。対象をベトナムの大学で物流学科に通う学生に絞り、1年間の期間で受け入れている。
南日本運輸倉庫管理本部広報部の山口眞富貴氏は、この取り組みの狙いを「即戦力というよりは、日本の物流、特に我々がやっている冷凍冷蔵物流に興味を持ってもらうこと」と説明。
「日本を知ってもらい、日本語の勉強をしてもらって、将来の選択肢として当社を選んでもらえるかもしれない。半分支援のような感覚」と語り、あくまで「将来への種まき」であることを強調した。
受け入れにあたっては、公私にわたる手厚いサポート体制を構築した。インターン生が主に担当する倉庫内のピッキング作業では、日本人の教育担当者に加え、同じ営業所で働く先輩のベトナム人(インターン経験者や技能実習生)が業務フォローに入る。これにより、新しく来た学生が業務に馴染みやすい環境を整えた。

▲埼玉物流センターでの説明会(出所:南日本運輸倉庫)
さらに、仕事以外の生活面や日本語学習については、提携先のアプライズが包括的にサポート。安心して日本での生活と学びに集中できる体制を確立している。
こうした地道な取り組みは、早くも成果となって表れている。1年間のインターンを終えて帰国・復学した学生のうち、「すでに2-3人が、大学卒業後に当社に入社している」という。「効果は若干出てきている」 と山口氏は手応えを感じている。
同社はこれとは別に、日本国内の留学生の新卒採用も進めており、こちらは高い日本語能力を持つため日本人新卒とほぼ同様の条件で採用。現在10人弱が在籍し、主に庫内業務で活躍している。インターンシップ制度は、日本の物流現場への理解と日本語能力向上を促し、将来のグローバル人材を育成する投資として機能し始めている。(菊地靖)
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