調査・データ東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)は14日、ことし1‐10月の企業倒産のうち、設立10年未満の企業の倒産は2086件で全体の29.1%を占めたとするレポートを公表した。10年前の16年の構成比22.7%から6.4ポイント高くなった。
ことし1-10月の企業倒産は8594件で前年同期比3.2%増だった。同社では、このうち個人企業を除く7162件のうち、設立10年未満の企業倒産2086件を分析した。
原因別では、最多が「販売不振」の1467件で70.3%を占めた。次いで「放漫経営」が230件で同11.0%、「他社倒産の余波」154件(7.3%)、「赤字累積」105件(5.0%)などが続いた。
設立10年未満の企業は事業基盤がぜい弱で競争力も弱い企業が多いが、「事業上の失敗」を含む「放漫経営」の構成比が11.0%と、全倒産の4.9%に比べて非常に高い。経営者の経験不足や見通しの甘さから倒産に至るケースが多いことを裏付ける結果となった。
産業別では「農・林・漁・鉱業」や「サービス業他」などの件数が多い。創業支援を背景に、小資本でも開業可能な飲食店などを含む「サービス業他」が多い一方、初期投資の負担が重い製造業などと差が生じている。
地区別に構成比を見ると、関東の32.1%(2986社中961社)が最も多く、次いで、九州の29.49%(668社中197社)、近畿の29.48%(1282社中378社)が続いた。最も低いのは北陸の20.1%(139社中28社)だった。
関東は、東京など首都圏で優秀な人材を確保しやすく、最新技術や情報にもアクセスしやすいことから起業が相次ぐが、同業他社も多く競争環境も激しい。そのため、事業基盤を確立できずに市場から撤退を余儀なくされる企業も多い。
14年6月、政府は産業の新陳代謝とベンチャーの加速を目標に掲げた「アベノミクス」3本の矢の一つのうち、民間の力を引き出す成長戦略として、開業率を5%から欧米並みの10%に倍増する目標を打ち出した。同社は「日本の稼ぐ力を取り戻す企業支援プロジェクトだったが、事業計画や資金計画に精緻さを欠く企業も少なくない」と指摘している。
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