
記事のなかから多くの読者が「もっと知りたい」とした話題を掘り下げる「インサイト」。今回は「日本郵政、次期中計で“総合物流企業化”を加速」(11月14日掲載)をピックアップしました。LOGISTICS TODAY編集部では今後も読者参加型の編集体制を強化・拡充してまいります。引き続き、読者の皆さまのご協力をお願いします。(編集部)
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ロジスティクス日本郵政が11月14日に公表した次期中期経営計画の骨子は、創業以来のビジネスモデルである「郵便局ネットワーク」のあり方を根底から覆す内容となった。最大の焦点は、これまで郵便局が一体として担ってきた「窓口機能」と「物流(集配)機能」の分離・再編だ。人口減少と郵便物数の急減を背景に、従来の「全国一律・フル機能」の維持が限界を迎えるなか、物流機能を大規模拠点へ集約し、空いたスペースを不動産開発に転用するという、アセット(資産)の徹底的な入れ替えに踏み切る。
計画の核心は、ラストワンマイル網の「機能型ネットワーク」への転換である。これまでは各地域の集配郵便局が郵便・荷物の区分から配達までを担ってきたが、今後はこの機能を「地域区分局」や新設する大規模な「集配拠点」に集約する。これにより、機械化による業務効率化と、車両による広域配達体制を構築し、コスト削減を図る。
一方で、物流機能を分散した都市部の郵便局用地は、不動産事業へと転用される。これまでバックヤードとして使用していたスペースを、オフィスや商業施設、賃貸住宅として再開発し、収益性の高い不動産事業を物流と並ぶ柱に育てる狙いだ。地方部においても、集配センターの集約を進め、空いたリソースを他社荷物の受託などに振り向けることで、ネットワーク維持コストの捻出を図る。
この抜本改革を急ぐ背景には、本業の深刻な収益悪化がある。同日発表された2026年3月期第2四半期決算では、郵便・物流事業セグメントが255億円の営業赤字を計上した。郵便料金の値上げ効果があったものの、郵便物数は前年同期比7.1%減と減少ペースが加速しており、人件費や委託費の高騰を吸収しきれていない。既存のオペレーションの延長線上では黒字化が困難な状況にある。
物流事業の質的転換も進める。これまでの「CtoC(個人間)」や「BtoC(EC)」中心のモデルから、企業の在庫管理や調達物流を含む「BtoB(企業間)」領域への拡大を明確にした。トナミホールディングスの買収やロジスティードとの提携は、日本郵便に欠けていた「幹線輸送」や「3PL」の機能を補完し、川上から川下までを一気通貫で請け負う体制を作るための布石だ。
次期中計は、郵便局を「物流の拠点」から、物流機能を持たない「生活サポート拠点」へと変質させる可能性を示唆している。5万人の管理者選任によるガバナンス強化と並行し、現場のオペレーションをどこまで効率化できるかが、グループ再生の鍵を握る。
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