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日本郵政、次期中計で“総合物流企業化”を加速

2025年11月14日 (金)

ロジスティクス日本郵政は14日、2026-28年度を対象とする次期中期経営計画の骨子を公表した。人口減少やデジタル化による郵便物の減少、労働力不足の深刻化など、10-15年後にかけて事業環境の構造変化が一層進むとの認識を示し、物流・不動産・金融を軸にした事業ポートフォリオ転換を進める。物流領域では「総合物流企業化」「ラストワンマイル改革」を最重要テーマに掲げ、集配ネットワークの再編やM&A・資本提携による垂直統合を進める方針だ。

計画ではまず、コンプライアンスとガバナンスの強化を最優先課題に位置づけた。郵便局の点呼業務不備の再発防止に向け、デジタル遠隔点呼の導入を推進。記録漏れや改ざん防止に加え、グループ全体で顧客データを適切に管理する新基盤も整備する。

成長戦略の中心は物流だ。「toB・toCの物流を一体運営する総合物流企業」への転換を掲げ、郵便事業と荷物事業のセグメントを再整理して経営管理を高度化する。企業間物流を強化するため、トナミホールディングスの買収やロジスティードとの資本業務提携に代表されるM&A・アライアンス戦略を継続。国際物流、コントラクト物流、輸配送、ラストワンマイルまでを一体で担うサプライチェーン網の構築を目指す。

ラストワンマイル改革も柱となる。差出・受取利便性を高める価格体系の見直しに加え、集配拠点の集約・再配置を本格化する。都市部では価値の高い集配局用地を不動産開発に転用し、地域区分局に処理機能を集約。地方部では広域配達を前提にセンター集約を進め、他社荷物の受託拡大も視野に収益力向上を図る。さらに、自動化投資や要員配置の最適化により、大幅なコスト削減を目指す。

不動産事業では、ストック中心からフローとの二輪駆動型へと転換する。保有不動産の開発や外部用地の取得を強化し、分譲・回転型事業にも積極投資する。大阪、麻布台、広島、五反田などを候補に総合デベロッパー化を進め、将来的な業界トップ10入りを目指す。

郵便局ネットワークは、地域の生活サポート拠点として再定義する。高齢化や過疎化に対応し、自治体事務の受託や移動・買い物支援サービスを拡充。半日休止やリモート接客、移動郵便局、フランチャイズ化など、多様な運営方式を組み合わせ、地域事情に応じた最適配置を進める。

郵便物数の減少が避けられないなか、同グループは物流・不動産・金融の事業構造を組み替え、持続的な成長基盤の確立を図る考えだ。次期中計では、郵便局ネットワークを核とした“共創プラットフォーム”を再設計し、総合物流企業としての競争力を高められるかが問われる。

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