ロジスティクス食品の輸出・輸入・国内物流に特化した専門展「国際食品物流EXPO」(Food LogiX)が3日、幕張メッセ(千葉氏美浜区)で開幕した。会場のホール内には、物流企業や物流関連ソリューション企業のブースが立ち並ぶ一方、同じ空間に輸出向け食品メーカーの展示も数多く並び、“食品物流における商流と物流”を同時に見渡せる展示会となっている。同展示会は5日まで開催される。

会場は食品物流をテーマに、保冷・鮮度管理、包装・検査、通関支援、輸出入サポートなど、サプライチェーンを構成する幅広い領域のソリューションが一堂に集結。来場者は、輸送・保管の仕組みから輸出用食品の商品づくり、海外販路拡大のサポートまで、多様な展示を横断して比較できるつくりとなっている。
同時開催の「“日本の食品”輸出EXPO」には、海外販路の拡大を狙う食品メーカーが多く出展し、抹茶、菓子、調味料、加工食品、冷凍食品に加えて、果物、畜産品、海産物といった農水産物をアピールする企業も目立った。アジア、欧米、中東などからのバイヤーが訪れ、輸出向け商品の特徴や認証対応、原料調達、保冷物流との連携などを各社が丁寧に説明していた。
出展者からは、「国内の消費の伸びは今ひとつだが、円安に後押しされて海外での需要が伸びている。日本の食品は安全で質が高いことからブランド価値も高まっており、好機を逃さずビジネスに結びつけたい」といった声も聞かれ、現場の前向きな姿勢がうかがえた。

▲会場の様子
会場では多様な食品が展示されていたが、中でも目を引いたのは抹茶関連の商品の多さだ。緑茶、とくに抹茶を含む粉末茶の輸出はここ数年で大幅に拡大。農林水産省の統計によれば、2024年の緑茶輸出額は364億円と過去最高を記録。10年前と比較して3倍以上に伸びている。海外ではブームを過ぎ、もはや定番の日本食材となっている。
緑茶生産の関係者によると「海外では抹茶の健康価値が浸透し、飲料だけでなく菓子原料としても使われるため需要が大きく落ちない。京都府内では煎茶から抹茶へ転換し、輸出を強化する生産者が増えている」と語る。
緑茶は日本独自の輸出品目で、世界的なニーズの高まりから新規参入事業者も増える。出展していたアルテム(東京都豊島区)もその一つで、営業部の保坂空氏は「アジア圏からの引き合いが多く、案件によっては月間で1トン規模の抹茶を輸出する例もある」と語る。

▲多くの人が商談に訪れるアルテムのブース
日本の食品は海外で安全性と品質が高く評価されており、農薬や化学肥料を用いた一般的な栽培方法でも、アジアや米国では安全基準を満たすとされる。一方でEUは農薬基準が厳しく、「有機栽培でないと輸出は難しい」(保坂氏)との声もある。そのほか、イスラム圏へ輸出するためには、認証団体が定めた手順に従って処理を行い「ハラル認証」を取る必要があるなど、地域や文化圏によって異なるハードルが存在する。
海外需要の広がりとともに、食品物流には新しいチャンスと課題が交錯している。多様なプレーヤーの参加を通じ、食品物流の可能性はさらに広がりそうだ。(土屋悟)
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