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伊物流で偽装請負の摘発拡大、CEVAも40億円押収

2026年3月6日 (金)

国際イタリアで物流企業の労働・税務コンプライアンスに対する大規模な取り締まりが続いている。ミラノ検察がこれまでに捜査対象とした物流関連企業は37社に上り、過去5年間で計10億ユーロ(1600億円)以上が国庫に納付され、5万4000人以上の労働者が正規雇用に移行した。直近ではシーバ・ロジスティクス(フランス)のイタリア法人2社から2740万ユーロ(40億円)が押収された。日本のトラック運送業にも根深い多重下請け構造があるだけに、欧州の対応は示唆に富む。(編集長・赤澤裕介)

イタリアの物流業界では、元請け企業が実質的な労務管理をしながら、形式上は下請けの協同組合や中小事業者に労働者を雇用させる「偽装請負」が長年の構造問題だった。末端の労働者には社会保険料が適正に支払われず、元請けは偽請求書を通じてコストを圧縮する。ミラノ検察はこの構造にメスを入れ、アマゾン(1億8000万ユーロで和解)、UPS(8650万ユーロ押収)、キューネ・アンド・ナーゲル(3300万ユーロ押収)など、グローバル大手を次々と摘発してきた。

3月3日に押収対象となったシーバ・ロジスティクスもその延長線上にある。ミラノ検察はシーバ・ロジスティクス・イタリアとシーバ・グラウンド・ロジスティクス・イタリーが2020年から24年にかけて偽請求書を発行し、廉価な労働力の使用を隠蔽して税・社会保険料の支払いを逃れた疑いがあるとしている。両社の幹部計5人が詐欺容疑で捜査を受けている。シーバは「当局に全面協力している。通常の事業運営に影響はない」と声明した。

シーバ・ロジスティクス・イタリアの摘発は10年足らずで2度目だ。19年5月には労働者搾取の疑いで1年間の裁判所管理下に置かれ、翌20年2月に事業モデルの改善が認められ解除された。それでも再び同種の疑いで捜査対象となったことは、構造的な問題の根深さを物語る。

日本の下請け構造と重なる論点

イタリアの偽装請負問題は、日本のトラック運送業における多重下請け構造と驚くほど似ている。実運送を担う末端事業者に適正なコストが回らず、ドライバーの労働条件が圧迫される構図は共通だ。日本では24年の貨物自動車運送事業法改正で「実運送体制管理簿」の作成や多重下請け構造の可視化が義務付けられた。アプローチは異なるが、サプライチェーンの末端で働く人の処遇を元請けの責任として問うという方向性は同じだ。

イタリア当局が37社・5万4000人規模で成果を上げている事実は、法執行が本気で動けば構造改革は進むことを示している。欧州で事業を展開する日系物流企業にとっては、現地の労務コンプライアンスリスクの再点検が求められる局面だ。

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