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編集部が見た最新物流ニュース雑感(2/21-3/6)

2026年3月6日 (金)

ロジスティクス本誌編集部の記者たちが、2月下旬から3月上旬に注目した物流ニュースを取り上げ、その背景や今後の影響について座談会形式で語り合いました。記事本文だけでは伝えきれない現場の空気感や取材の視点を、読者と共有するのが狙いです。

カワキタエクス、人材の360度評価でGAA最優秀賞

リクルートが主催する、現場の創意工夫による人事施策を称える「グッドアクションアワード」にて、カワキタエクスプレス(三重県亀山市)が最優秀賞を受賞した。同社は、物流業界で一般的だった歩合給や長時間労働に頼るモデルから脱却し、理念適合を重視した採用や「360度評価」を含む独自の人事制度を導入している。未経験者の積極採用や、人柄・接客といったソフト面の評価を可視化した取り組みが、若年層の獲得や組織の活性化に繋がっている点が高く評価された。

記者A「今週のトピックとして、カワキタエクスプレスがリクルートの『グッドアクションアワード』で最優秀賞を獲った件は外せないね。物流企業がこうした賞を受賞するのは、業界にとってもかなり明るいニュースだよ」

記者B「そうだね。カワキタエクスプレスは理念に合った未経験者を積極的に採用していて、評価制度には360度評価を取り入れている。社長一人の判断じゃなく、同量など周囲の評価を反映させる仕組みだね。特に人柄や接客といったソフト面の評価を独自基準で行っているのが特徴で、これが若手を惹きつける要因になっているんだろうね」

記者C「ただ、今の働き方改革の流れに対して、少し心配な動きもあるんだ。高市早苗氏が首相就任して『馬車馬のように働く』と発言して以来、みんなもっと働くべきだみたいな雰囲気が出てきているでしょう。最近のニュースで『もっと働きたい』という労働者の割合が増えているというアンケート結果が出ていたけれど、これが世論形成のための準備のようにも見えてね。せっかく残業規制が適用されて、所定時間内でしっかり稼げるようにしようという流れだったのに、また長時間労働や歩合的な要素に戻ってしまうような『揺り戻し』が来ているんじゃないかと懸念しているよ」

記者B「確かに。サカイ引越センターの裁判でも歩合給による支払いが妥当ではないと示唆されているし、これからのトラック運送業は、法の制限のなかでどうやってしっかり稼いでもらうか、その条件作りが重要になる。だからこそ、カワキタさんのような新しい評価スキームが注目されているんだろうね」

記者D「人事評価は社内に蓄積されるクローズドなノウハウの塊だから、生成AIの社内カスタマイズ活用にも向いている領域だね。九州のGラインや愛知のmirai計画みたいに、独自の人事制度で成果を出している事例を整理して、業界全体のロールモデルとして提示していく必要がありそうだ」

日本郵便、郵便減少でBtoB物流拡大方針

日本郵便は記者懇談会を開催し、メディア記者との交流を行った。懇談会には同社社長以下、役員が参加した。多くの役員からは、郵便事業以外の領域の強化について発言が目立った。また、現行の郵便サービス維持が難しくなりつつあるとの声も聞かれた。民営化後の公共性と収益性の板挟みの中、2.4万の郵便局ネットワークを拠点とした「総合物流化」を推進し、効率的なインフラへの再構築を急いでいる。

記者B「先日開催された記者懇談会で話を聞いたけれど、やはり地方を中心に今の郵便制度を維持するのは限界に近いようだね。海外みたいに、地域の拠点に一括で届けて各自が取りに来るようなやり方も検討せざるを得ないが、それを日本の社会が許容できるかが課題だろうね」

記者C「そもそも民営化の際、もともとは金融や保険についての話だったのが、郵便領域まで無理に広げてしまったことが現状の難しくしている一因なのかも。民間企業として背負うには負荷が大きすぎる部分もあるから、週5日から週2日への頻度低下などは国民として受け入れざるを得ない流れだろう」

記者D「日本郵便としても、ユニバーサルサービスとしての郵便事業の良さを残しつつ、ロジスティードとの協業や豪・トールの活用などでラストワンマイルや倉庫機能のピースをはめ、総合物流化へ舵を切っているところだね」

記者A「2.4万もある郵便局ネットワークを拠点としてどう活かすかが鍵だね。国内外の輸送を効率化していく方向性は示されているけれど、社会インフラとしての公共性をどう守るのか、バランスが難しいところだ」

記者B「そうだね。まずは地方から段階的にサービスを見直して、少しずつ国民の理解を得ていく形になるだろう。『サービスがあって当たり前』というこれまでの常識を、どう変えていくかというフェーズに入っているね」

問いを立て、決断する──AI時代の人間の真価

BigM(ビッグエム、東京都中央区)が主催した「サプライチェーン・デザイン カンファレンス TOKYO 2026」では、不確実な時代に対応する「適応化」への転換が提唱された。村儀社長は、AIが分析などの「中流工程」を担う一方、人間は「問いのデザイン」と「決断・責任」に集中すべきだと説いた。「AIはエンジン、人間はハンドル」という役割分担を明確にし、過去のパターンが通用しない局面でこそ人間の真価が発揮されると強調しました 。

記者D「最近の議論では、AIがどれだけ普及しても『問いを立て、決断を下すのは人間だ』という点が改めて強調されているね。不確実な状況で最終的な判断を人間が行うための、教育や人材育成のパラダイムシフトが必要だという話だ」

記者A「日経の調査でも76%の企業が主に法務関連でAIを活用しているし、ホワイトカラーの中核業務がどんどん削減されている現状がある。ただ、その一方で運輸や製造といった現場の人手不足は解消されていないんだよね」

記者B「みずほ銀行の事例みたいに事務職がAIに代替されて5000人も削減される一方で、運輸や介護の求人倍率は2.5倍と高いままだ。事務職を希望する人は多いけれど、こうしたエッセンシャルワークへの人材移動がスムーズに進まないと、深刻な人手不足が続くことになるね」

記者C「物流の現場でも、請求や伝票といった事務処理はAIで劇的に自動化が進むはずだ。倉庫内業務の自動化と合わせて、事務も含めた『完全自動化』が現実味を帯びてきているよ」

記者D「配送のラストワンマイルにはまだ課題があるけれど、テクノロジーがカバーする領域は着実に広がっているね。AIに頼りきるのではなく、人間がどう違和感を持って決断を下すのか、これからの働き方が問われているよ」

全ト協、燃料高騰対策に総力上げ交付金維持加速

全日本トラック協会(全ト協)は理事会を開催。会長の寺岡洋一氏からは軽油引取税の暫定税率廃止に伴う「運輸事業振興助成交付金」の継続を改めて要望する旨の発言があった。また、理事会の閉会後に開かれた全日本トラック事業政治連盟政経懇談会では、出席した国会議員から、交付金の実現を支援するなどの発言もあった。交付金は業界団体の運営や交通安全対策、環境改善事業の主要な財源となっている。

記者C「軽油引取税の交付金維持を求める業界の姿勢には、改めて疑問を感じるよ。30年以上前、暫定税率撤廃を訴えた時は『撤廃するなら交付金はいらない』と言っていたはずなのに、今は維持を働きかけているからね」

記者B「理事会でも『交付金がないと全国・各都道府県のとラック協会存続の危機だ』という声が上がっていたけれど、補助金に頼り切ってしまうと、官に対して本当に言いたいことが言えなくなってしまうリスクがある。業界団体としての自立性が失われてしまうんじゃないかな」

記者A「交付金が全ト協や各都道府県協会の運営費に充てられているけれど、本来なら事業者が負担する会費などで自立運営すべきだという意見も根強いね。補助金依存では当事者意識が弱まってしまうという指摘はもっともだと思う」

記者D「日本郵便の配当問題とも通じるけれど、政府に『あめ玉ちょうだい』という姿勢では、結局は政治に利用され、官からも侮られてしまう。民としてしっかり自律してやっていくという矜持を、今こそ業界全体で見せなければならないと感じるよ」

記者C「交付金の使途を透明化して、本当に社会に還元できているのか検証する必要があるね。自立した財源モデルを模索しない限り、業界の未来は切り拓けないんじゃないかな」

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