ロジスティクス野村不動産は29日、Landport横浜杉田(横浜市磯子区)で「2025年度自動物流道路の社会実装に向けた実証実験ユースケース1・6」を実施した。この実証実験は、国土交通省が推進する自動物流道路構想の実現に向け、既存の倉庫技術と自動化設備を活用して物流効率化を検証する取り組み。多頻度化する輸送に対応するため、自動物流道路で荷物を自動搬送する構想の技術的な実現可能性の検証が目的だ。

▲会場の様子
実証実験は国土交通省道路局企画課の主導のもと、野村不動産を代表企業として、IHI、IHI物流産業システム、ナカオ工業、富士トランスポート、NX総合研究所、岡谷鋼機といった複数企業が参画している。
今回の実証実験は2つのユースケースを実証した。ユースケース1は無人フォークリフト(AGF)による荷役の自動化だ。人の手を借りず、機械が淡々とパレットを運ぶ。必要な空間、時間、最適な機材などの答えを探る試みだ。ユースケース6はトラックの到着を予告し、倉庫がその情報をもとに自ら荷を準備するという、いわば「待ち構える物流」の検証だ。
トラック出発から荷積み完了まで
13時15分頃、IHI横浜工場からトラックが出発。会場に設置された大型モニターには、統合運用制御システムの画面とトラックドライバーのスマートフォン画面が映し出され、参加者が見守った。
ETC2.0の路側機を通過した瞬間、モニターに「到着予告受信」の文字が浮かんだ。と同時に、倉庫の奥で自動倉庫が目を覚ます。4パレット分の荷物が、まるで意志を持ったかのように次々と姿を現す。無人フォークリフト(AGF)が、熟練工のような手つきで荷物をつかみ、所定の位置へと運んでいく。その動きには無駄がない。

▲AGFが粛々と荷物を所定の場所へと運んでいく
トラックが指定のバースに横付けされると、AGFが動き出した。バッファ位置に並んだ荷物へと進み、フォークを差し込み、持ち上げ、荷台へと運び込む。淡々だが、確実だ。人の指示もなく、システムの采配だけで荷物が積まれていく様は、物流の新時代を予感させるものだ。
積み込みが終わると、システムからトラックへ離車の合図が送られ、ドライバーのスマホに通知が届いた。開始から1時間。一連の自動化プロセスが何事もなく完了し、会場には静かな安堵が広がった。
2027年に新東名で実験、2030年代半ば実装目指す
IHI物流産業システム取締役の関雅美氏は「タイミングが非常に重要。頻繁なトラックの出入りに対応するための工夫や、失敗時のリカバリ対策が必要」と課題を指摘。また、「AGFは時間がかかるため、短時間を目標にするならローラーコンベヤーで一気に16パレットをトラックに押し込む方法も選択肢として検討していきたい」と今後の改善方向性を示した。

▲無事、トラックに運び込み任務完了
国交省は来年度以降も実証を重ねる構えだ。ユースケース1から6をつなぎ合わせた一気通貫の検証に乗り出す。2027年には新東名の工事中区間で本物の高速道路を舞台に実験を行い、2030年代半ばには一部区間で実際に動かす算段だ。
また、自動物流道路とトラックは使い分ける。パレット1枚に収まる小口荷物は自動物流道路、長尺物や重量物はトラックへ。深刻化するドライバー不足に対し、小口を機械に任せることで物流全体の負担を軽減する狙いだ。
野村不動産、拠点施設開発を見据える
野村不動産事業創発本部事業企画一部開発一課の桑山裕司氏は「今回の実証を通じて、自動物流道路システムと倉庫システムの間に必要なスペースや機器設備が明らかになった。自動物流道路が実現すれば、地上トラックとの結節点となる拠点が多数必要になる」と指摘。「今回の結果を生かし、どの場所に、どの規模で、どのような仕様の施設を建てるべきか検討していきたい」と今後の展望を語った。
同社は物流施設開発で培った知見を携えて、次なる一手を見据えている。自動物流道路が縦横に走る未来、その要所要所に必要となるのは、荷物の受け渡しを担う拠点だ。シェアリング型の自動倉庫、共同利用のスペース。デベロッパー、メーカー、荷主が手を組み、新しい物流の「場」を築こうとしている。(星裕一朗)
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