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経産省はCLOの「外交的役割」を強調、荷主間の連携による物流構造改革を促す

長瀬産業が物流共創を主導、化学品配送の維持へ舵

2026年3月30日 (月)

メディカル長瀬産業は30日、荷主や物流事業者が一堂に会する「第6回物流オフラインコミュニティ」を開催した。冒頭、同社機能化学品事業部統括の近藤俊夫氏は「物流の定義そのものが変わりつつある」と指摘した。

▲長瀬産業機能化学品事業部統括の近藤俊夫氏

かつての「安く・早く・確実」というコスト重視の観点は過去のものとなり、現在は人手不足や環境対応、災害リスクを踏まえた「企業経営や社会インフラ、事業継続リスクを左右する重要事項」へと捉え方が変わっているのだ。近藤氏は、現場の努力に頼る改善には限界があり、荷主、物流会社、商流、情報の持ち方など、仕組みそのものを見直す経営判断が必要だと語った。

続いて登壇した経済産業省物流企画室の佐藤瞭室長補佐は、「CLO(物流統括管理者)に求めたい役割は、一言で言えば『外交』だ」と強調した。自社内の最適化に加え、発荷主と着荷主、さらには競合他社との連携窓口となり、1社では解けない課題を解決する役割が期待されている。

▲経済産業省物流企画室の佐藤瞭室長補佐

物流危機の深刻化を受け、政府は2024年に物流総合効率化法(物効法)を改正した。佐藤氏は、4月から本格施行する特定事業者制度の詳細を解説した。年間取扱重量が9万トン以上の「特定荷主」に対し、CLOの選任や中長期計画の作成、荷待ち時間の計測を含む定期報告が義務付けられる。

この「9万トン」という基準は、発荷主と着荷主のそれぞれで判定する。佐藤氏は、自社がどの程度の重量を扱っているか、この1年間で算定してほしいと呼びかけた。特定事業者の届け出は5月末までに行う必要がある。改正法の核心は、CLOが経営判断として物流を調達・製造・販売と一体で設計・改善することにある。特に「荷待ち時間」については、荷主が指示した時刻から実際の荷役開始までの時間と定義された。9時指定で9時30分に作業を始めた場合、その30分間が削減対象となる。

政府が目指す将来像が「フィジカルインターネット」の実現だ。データの共通化と規格化された容器を用い、複数企業の物流資産をシェアする概念である。これにより積載率の劇的な向上とコスト、CO2排出量の削減を目指す。政府は世界初のロードマップを策定し、社会実装を推進している。佐藤氏は「物流の小口多頻度化が進み、積載率は40%台と低水準だ」と現状を分析した。対策を講じない場合、30年には34.1%(9億4000万トン相当)の輸送能力が不足する恐れがある。

▲会場の様子

長瀬産業も、化学品商社として具体的な解決策を提示した。同社トータルソリューション部の北越開陽氏は「化学品AI共同物流マッチングサービス」の現状を報告した。利用企業は90社弱まで拡大している。発着地や数量、頻度を入力すれば、AI(人工知能)が最適なルートをマッチングする仕組みだ。荷主の入力負担を軽減するため、出荷履歴データから同社が代行入力するサポートも実施している。

▲長瀬産業トータルソリューション部の北越開陽氏

北越氏は、北陸と関西間を往復する2社をマッチングし、帰り便の空きを埋める「一筆書きルート」の構築に成功した事例を紹介した。危険物は法律上の責任が重く、路線便での受託拒否が始まっている。北越氏は、事故のたびに規制が厳格化しており、今後も緩和の見込みはないとして、共同化の重要性を訴えた。

長瀬産業主催のイベントは終了後、盛大な懇親会へと移った。会場には60人を超える参加者が集まり、立場や業種を超えた情報交換が活発に行われた。1社では解決できない物流の壁を、共創によっていかに突破するか。「物流を経営判断として捉える」という近藤氏の言葉通り、会場には危機を好機に変えようとする熱気があふれていた。(菊地靖)

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