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軽油の暫定税率、半世紀に幕

2026年3月31日 (火)

環境・CSR軽油引取税に上乗せされてきた旧暫定税率(1リットルあたり17.1円)が、2026年4月1日をもって廃止される。1976年の導入から50年、「当分の間」とされてきた課税が本則に戻る。税率は現行の32.1円から本則の15円に下がり、17.1円の減税となる。全日本トラック協会(全ト協)が繰り返し廃止を求めてきた上乗せ課税が、半世紀を経て幕を閉じる。

▲軽油引取税の税率変更(暫定税率廃止、クリックで拡大)

小今夜、全国のスタンドが一斉停止

税率切り替えに伴い、全国のガソリンスタンドで3月31日23時台から4月1日0時台にかけて、POSレジや計量機の税率設定を更新する作業が発生する。この間、給油や洗車機を含むすべての営業が一時停止となるスタンドが相次ぐ。

大手フリート系を中心に、各社が休止時間を告知している。

▲税率切り替えに伴うスタンド営業停止(クリックで拡大)

休止時間は多くの場合20分から40分程度だが、深夜に長距離を走るトラックドライバーにとっては給油計画の見直しが必要になる。

今夜のPOS停止はスタンド店頭の話であり、自社インタンクへのローリー配送には影響しない。ただし税率変更はインタンク(自家用給油設備)にも及ぶ。4月1日以降に納入された軽油から新税率(15.0円)が適用され、3月31日以前にタンクに入っている分は旧税率(32.1円)のままだ。インタンクを保有する運送事業者は、燃料商社や元売りとの間で4月分の請求書における税率切り替えの処理方法を確認しておく必要がある。事業協同組合の共同購入でインタンクを利用している場合も同様で、組合側の請求単価がいつから新税率に切り替わるかを確認しておきたい。本誌が3月13日に報じたとおり、一部のインタンク向け販売ではホルムズ情勢を背景にした販売制限の動きも出ており、税率変更と供給制約が同時に進む点に注意が要る。

全国石油商業組合連合会(全石連)は事業者向けにQ&A(2月20日付第2版)を公開し、4月1日以降に販売した分から新税率を適用すること、在庫は先入先出法で旧税率分を優先処理すること、特別徴収義務者への報告に在庫管理台帳や軽油流通フロー図の添付が必要になることを周知している。税率変更への対応漏れには最大10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科される可能性がある。

店頭価格への影響は限定的だ。政府は2025年11月27日から暫定税率と同額の17.1円を補助金として元売りに支給しており、廃止と同時にこの補助金も終了する。税が17.1円下がり、補助金も17.1円なくなるため、差し引きでは価格がほぼ動かない仕組みだ。消費税の課税ベースが変わる分だけ1-2円の変動が生じる可能性はあるが、大きな値動きにはならない見通しだ。

一方、免税軽油を使ってきた漁業、建設、農業の事業者は事情が異なる。これらの業種は暫定税率分も免除されていたが、補助金の恩恵は受けていなかった。廃止後は免税の対象が本則15円のみとなり、実質的に17.1円の負担増となる。

物流業界にとっては、暫定税率廃止で得られるはずだった「浮き」が、ホルムズ海峡情勢による原油急騰で大幅に目減りしている現実がある。資源エネルギー庁の調査では、3月16日時点の軽油全国平均小売価格は178.4円と、2月上旬から30円近く跳ね上がった。政府は19日出荷分から緊急激変緩和措置を再開し、全国平均170円程度への抑制を目指しているが、補助金の財源には上限がある。暫定税率は廃止されても、燃料コスト全体の負担は中東情勢次第で大きく変わる。

運輸事業振興助成交付金は、暫定税率を原資としてトラック事業者の安全対策や環境対策に充てられてきた。政府は廃止後も交付金を維持する方針を国会答弁で示しており、代替財源で手当てする。

全ト協の推計では、旧暫定税率分に相当する業界全体の年間負担は2978億円に上る。大型車1台あたり年間2万4000リットルを消費すると仮定した場合、年間41万円のコスト削減効果となる。ただし、国土交通省、中小企業庁、公正取引委員会の3者は連名で、燃料価格下落を理由とした一方的な運賃引き下げ要求を禁止する旨を荷主団体に要請している。

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