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人手不足の改善につながるのか、実運用には課題も

国交省、フルトレーラの全長25m緩和方針固める

2016年4月12日 (火)

行政・団体国土交通省は、特殊車両通行許可を得た車両に対して認めている全長21メートルのフルトレーラの全長を最大25メートルまで緩和する方針を固めた。課題を抽出するため、公募でトラック運送事業者の協力を得ながら、今夏にも新東名高速道路で実証実験を行う。

▲画像は現行規制下で最長の21メートルフルトレーラ(構造改革特別区域「長大フルトレーラ 連結車による輸送効率化事業」で実際に走行した車両、国土交通省)

▲画像は現行規制下で最長の21メートルフルトレーラ(構造改革特別区域「長大フルトレーラ 連結車による輸送効率化事業」で実際に走行した車両、国土交通省)

国交省、フルトレーラの全長25m緩和方針固める

(出所:国土交通省)

今回の規制緩和は、民間の事業者からの要望に対応する形で11日開催の国交省生産性革命本部会合で打ち出したもの。構造改革特区法の規制の特例措置として、2013年11月から最大21メートルのフルトレーラが全国を走行できるようになったが、さらに全長を25メートルまで緩和することで、10トン車2台分を1車両で運行できるようにする。

高速走行が可能な新東名高速道路の開通に伴い、物流効率を高めて人手不足に悩むトラック運送事業者の課題改善につなげる。現行の21メートル規制は法改正ではなく通達の見直しによって緩和を実現しているが、今回の25メートルへの規制緩和も通達ベースで実施する見通し。

人手不足の改善につながるのか、実運用には課題も

ただ、21メートルフルトレーラは日本梱包運輸倉庫などが積極的に導入を進めているが、業界全体でみると浸透には程遠い状況で、さらなる規制緩和には課題も多い。

例えば、今回の規制緩和は「10トン車2台分を1人のドライバーで運行できる」ということを目的としているが、フルトレーラを運転するには、大型免許だけでなく「けん引」免許の習得が必要で、大型免許でさえ十分な保有者を確保できていないなかで、人手不足の現実的な改善策になり得るのかという問題がある。

国交省によると、今回の緩和方針は新東名高速道路の開通がきっかけになったということだが、高速道路上で休憩ポイントとなるSAやPAには25メートルもの長大な車両が駐車できるスペースは想定されておらず、休憩時間を確保できないまま目的地に向かわなければならない羽目になりかねない。国交省が目指す長時間労働の改善方針とは逆に、現状以上の長時間労働につながる可能性も出てこよう。

こうした課題が容易に想定されることからか、国交省でも実証実験には速やかに着手するものの、実運用をいつから開始するという想定はできておらず、「実証実験次第」ということになりそうだ。