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NTTとNTTデータが実証実験

倉庫内ナビゲーションに「何かに引っ張られる感覚」応用

2017年2月13日 (月)
倉庫内ナビゲーションに「何かに引っ張られる感覚」応用
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サービス・商品NTTとNTTデータは13日、人間の触覚を刺激して「何かに引っ張られているような感覚」を生成する技術と、NTTデータがイタリアで提携するジップステック社の地磁気を用いた技術を組み合わせた「触覚を使った屋内ナビゲーション」の実証実験を開始する、と発表した。

両社がこの技術の活用を想定するのは、主に「屋内における道案内」としての役割で、情報端末を目視で確認せずとも「何かに引っ張られる感覚」で目的地へ利用者を誘導する。NTTデータはこの技術の用途のひとつとして「倉庫内の棚卸業務」を想定しているが、どういう利用シーンが考えられるのか。

例えば倉庫内のピッキング業務は「宝探し」とも呼ばれるほど目当ての商品を探し出すのが困難な現場があり、規模が大きくなればなるほどその難易度も高まる。こうした課題に対応するためのシステムが多く開発されているが、大抵は情報端末を目視しながら、その場所にたどり着く仕組みになっており、効率化の余地が残る。

そこで、NTTとNTTデータが実証実験を行う技術を用いることにより、従事者は目で一々端末を確認することなく、目当ての棚へ到達できるようになる。ベテラン従事者は別として、慣れない従事者にとって倉庫内は右も左も同じような光景が広がる迷路にも似たレイアウトとなっているため、この触覚ナビゲーションは最短ルートで従事者を確実にエスコートするパートナーとなり得るわけだ。

具体的には、地磁気を用いたナビゲーション専用のアプリケーションを入れたスマートフォンからけん引感覚生成技術「ぶるなび」が搭載されたスマートフォンケースに進行方向をBluetooth経由で指示することにより、地図に頼らず直感的な誘導ができる。

倉庫内ナビゲーションに「何かに引っ張られる感覚」応用

このシステムは自然の地磁気を活用するため、新たにアクセスポイント(無線LAN)など測位に必要な設備を設置する必要がなく、導入時の初期投資抑制にもつながる。さらに、既存のWi-FiやBeaconと組み合わせて使うことが可能だ。

地磁気を用いたナビゲーション技術は、エレベーターの接近など「磁場の乱れ」の影響を受けやすいことがあるが、今回の仕組みは独自のアルゴリズムを用いることでこれらの影響を極小化し、高い精度でナビゲーションすることができるという。

NTT、NTTデータは今回の技術を実証するための実験に際し、スマートフォンケースの形状で効率的に非対称振動を伝える技術も新たに加えた。小型・軽量デバイスを伴う実運用シーンでの使い勝手やけん引精度を確かめることにしている。実験は6月末まで続け、触覚ナビゲーションの有効性、改善点など実験で得た結果を踏まえ、性能の向上や新たな商用サービスの提供を検討していく。