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働き方改革で「中継輸送」の導入掲げる

自動車運送業の労働力確保へ「3本柱」、国交省

2014年7月7日 (月)

行政・団体国土交通省は7日、自動車運送事業の労働力確保対策をまとめた。自動車局内に「自動車運送事業などの人材の確保、育成に向けたプロジェクトチーム」「トラック産業の健全化・活性化に向けた有識者懇談会」などを立ち上げ、必要な対策を検討し、とりまとめ・整理を行ったもの。

とりまとめでは、自動車運送事業が「中高年層の男性労働力に依存しており、将来的に深刻な労働力不足に陥る懸念がある」と認定。不規則・長時間・力仕事といった業界体質を抜本的に改革し、最大の潜在的労働力である女性や若者の就労を促すため、「3本柱の取り組み」を総動員する、とした。

具体的には、「採用から定着まで一環した取り組み」「働き方を変える抜本的な取り組み」「労働生産性を向上させる輸送効率化の取り組み」を3本柱として、それぞれの課題に対する施策を設定。

採用改革では、女性・若者を労働力とみておらず、リクルートや男女別施設の整備が不十分だとして、女性・若者への戦略的なリクルート、定着を促すためのワーク・ライフ・バランスの向上やES(従業員満足度)の向上、女性の活躍のための環境整備、キャリアアップシステムの構築——といった取り組みを行う。

働き方改革では、不規則・長時間・力仕事などの過酷な労働環境により、女性・若者の新規就労がほとんどない状態となっていることが課題だとして、一人の運転者が一つの行程を担うことが当然とされてきた働き方を改め、複数人で分担する働き方に変えることで、不規則・長時間労働を解消する「中継輸送の導入による働き方改革」を掲げた。

また、男性を前提とした硬直的で長時間の働き方を改め、女性向け短時間勤務など、柔軟な働き方に変えることや、先進安全技術を活用した業務の省力化・IT化により、力仕事などの過酷な労働環境を一新するとした。

輸送の効率化では、連結バスの導入やトラックの連結化、繁閑期が異なる事業者間の相互出向といった効率的な運転者の運用を目指すほか、「取引先に強いられた荷役作業」や過剰な荷待ち時間といった非効率な商慣行を、取引先も巻き込んで是正する。

自動車運送事業の大半を占める中小事業者に3本柱の取り組みを実行する十分なノウハウがないため、国が先進事例を収集・整理して事業者への普及を図る。特に「働き方」改革では従来の事業運営方法を抜本的に改めるもので、課題も多いことから、事業モデルの構築を国が支援するとした。

また、制度改正運行管理制度のあり方検討、運転者教育の強化、ドライバースキルの「見える化」、外国人技能実習制度の拡充などの制度改正を併せて実施する。

国交省は今後、とりまとめ・整理の内容を具体化し、実行に移していくとともに進捗を管理し、「適時適切に不断の見直しを行っていく」としている。