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米穀物メジャーに引き渡し

三菱重工、新型ばら積み船でCO2を27%削減

2014年10月29日 (水)

荷主三菱重工、新型ばら積み船でCO2を27%削減三菱重工業は29日、同社が開発した省エネ・環境性能に優れるばら積み運搬船の1番船が技術供与先の大島造船所(長崎県西海市)で完成し、世界的穀物メジャーの米国アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社に同日引き渡されたと発表した。

泡の力で船底の摩擦抵抗を減らす独自の「三菱空気潤滑システム(MALS)などの技術により、CO2の排出量削減効果は従来船に比べて27%減と、目標としていた25%以上を達成した。

同船は2011年にADMから住友商事が穀物輸送用として受注した3隻の1番船で、三菱重工からの設計コンセプトとMALSなど環境技術の供与で大島造船所が建造し、15年半ばまでに全3隻の引き渡しを完了する。長さ237メートル、幅40メートル、喫水12.5メートルで、載貨重量トン数は9万5000トン。

造波抵抗を低減する新型船首などを採用。また、プロペラの前方にフィンを設置し、プロペラボスキャップに特殊な溝を設けることで主機関の出力を効率よく推進力に変換する。さらに、浅い喫水を採用することでMALSによる省エネ・CO2削減効果を追求しやすくしている。

MALSは、ブロア(送風機)を使って船底から吹き出した空気が、細かい気泡となって船底を覆うことにより、航行時に水との摩擦を減らすもので、日本海事協会などの支援を受けて開発した。

モジュール運搬船やフェリーなど同社が建造した船舶に採用され、燃料消費、環境負荷の有力な低減技術として実績を積んでおり、今回のばら積み運搬船も海上運転試験により、MALSが想定どおりの性能を発揮したことが実際に検証された。