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三菱重工、CO2を25%カットするばら積み船開発

2011年10月14日 (金)

ロジスティクス三菱重工業は14日、CO2の排出量を従来船に比べて約25%削減できる新型ばら積み運搬船を開発、商業化第一弾として、米国のアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社向けに建造される穀物輸送船3隻に、その設計コンセプトと環境技術を供給すると発表した。

 

泡の力で船底と水の摩擦抵抗を低減させる独自の「三菱空気潤滑システム」(MALS)や高効率な船型、推進性能改善装置などを採用したもので、住友商事が受注した。船の建造は大島造船所(長崎県西海市)が行う。

 

新型ばら積み運搬船はこのほか、造波抵抗を低減する新型船首などを採用。また、プロペラの前方にフィンを設置し、プロペラボスキャップに特殊な溝を設けることで主機関の出力を効率よく推進力に変換する。

 

空気潤滑システムには、空気をブロア(送風機)で船底に送り込む方式を採用。船舶の有力なCO2削減策として同社が開発したもので、外販は今回が初めてとなる。

 

3隻の穀物輸送船は、長さ237m、幅40m、計画喫水12.5mで、載貨重量トン数(DWT)は約9万5000トン。浅い喫水を採用することで空気潤滑システムによる省エネ・CO2削減効果が追求しやすくなるという。

 

大島造船所は、同社が提供する設計コンセプトと環境技術に基づき、基本設計から建造に取り組む。同社からのMALSの関連装置納入は2014年を予定している。

 

商談は当初、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社と三菱重工との間で始まった。三菱重工は船舶・海洋事業で、他造船所への技術支援などのエンジニアリング事業の展開を進めている。

 

アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社は世界的穀物メジャーの一社で、同社が新造船を発注するのは今回が初めて。船型もパナマ運河の拡張工事完了をにらんだものとなっている。