
(出所:国民生活センター)
EC独立行政法人国民生活センターは26日、通信販売の成長に伴って宅配便やメール便のトラブルが増えているとして、運送事業者、通販事業者、消費者がそれぞれの立場で取り組めることをまとめた報告書を公表した。
通販で消費者が購入した商品の運送には、主に運送事業者による宅配便やメール便が用いられているが、遅延・破損・紛失など宅配便を利用する上で起きるトラブルが「消費者トラブルメール箱」や各地の消費生活センターに寄せられている。
2014年度の相談件数は2月20日までに260件に達しており、前年の同じ時期に比べて33件増加。国民生活センターでは「これらのトラブルは、単に運送事業者の責任によるものだけでなく、通販事業者や消費者の取り組みと併せることで改善できる事例も存在している」と指摘。
相談事例やトラブルメール箱へ寄せられた情報を基に、運送事業・通販事業の両事業者団体へのヒアリングを踏まえ、消費者トラブルを減らすため消費者へのアドバイスと事業者団体への要望を行った。
同センターは主な相談事例として「指定時間帯に届かないクリスマスプレゼント」「メール便で紛失した自転車パーツ」「発送プランが適切に反映されない書籍」の3事例(記事の最後に事例の詳細内容)を挙げた上で、「宅配便サービスが関係する相談にはさまざま形があるものの、苦情の原因をみると消費者・通販事業者・運送事業者それぞれに起因する事例が見当たる」と分析。
購入に関連する問題点としては「運送手段に関する情報が消費者に浸透していない」「購入者(消費者)は運送契約の当事者でない」、運送に関連するものとしては「不適切な荷扱いに関するものが目立つ」「配達日時に関する消費者のシビアな期待」などがあると強調し、さらに通販事業者・運送事業者が配達スピードに過度な対応を行っていると指摘した。
特に、過度な配達スピード対応については、在庫管理が適切に行われることで欠品などによる遅延を防げたり、配達日が指定されているケースも、相応に早期の出荷を図などで時間的余裕が確保できる、と解決への手掛かりを提案している。
消費者に対しては次のように8項目にわたってアドバイスしている。
また、通販業界団体の日本通信販売協会(JADMA)に対し、費用・簡便性・信頼性の観点から消費者が「複数の手段から選択できるような態勢の構築と、さらなる充実」を要望。宅配ボックスやコンビニ・営業所留めなど、消費者側の受取条件や設備・手段の多様化に対応できるよう継続的な態勢整備を求めた。
配達日や時間帯指定運送については、(1)適切な在庫管理と、連動した表示(2)無理のない範囲で配達希望日や時間帯が選択できるような整備――など、通販事業者が行える範囲で配達遅延のリスクを低減させる取り組みを、運送時の荷物破損などによる対応については、消費者からの申出がスムーズに行えるよう表示や案内の改善と充実を要望した。
運送業界団体の全日本トラック協会に対しては、荷物の破損や遅延・不着などをさらに低減する取り組み、配達日時指定の運送に対する消費者の期待にさらに応えられるようにすることを求めた。
■主な相談事例
【事例1】
【事例2】
【事例3】