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物流連、五輪向け大規模建築物の物流配慮を提言

2015年3月27日 (金)
▲羽尾審議官(左)に提言書を手渡す物流連の大庭理事長(右)

羽尾審議官(左)に提言書を手渡す物流連の大庭理事長(右)

ロジスティクス日本物流団体連合会は26日、東京オリンピック開催に向けて小委員会を設けて検討していた大規模建築物の物流対策を提言としてまとめ、国土交通省の羽尾一郎物流審議官へ提出した。

物流連は、五輪大会に向けて大規模建築物の建設が相次ぐと見込まれることから、昨年11月に「オリンピック・パラリンピックに伴う大規模施設対策等小委員会」を設置し、協議を重ねてきた。

提言は25日の理事会で決定したもので、建設される商業ビル・大型宿泊施設・競技場などの大規模建築物に対し、「設計段階から物流への配慮を行うことが、円滑な物流の実現や建物の利便性向上、周辺地域の環境や地域交通の改善につながる」として、そのルール化を求めるもの。

物流連では、2015年度事業計画でも大規模建築物の課題解決に向けて検討を進めることにしており、今回の提言だけで終わらず、行政などの関係者に理解を求めていく方針。

提言では、これまでの大規模建築物があまり物流に配慮してこなかったためにさまざまな支障をきたしていることを指摘した上で、あらかじめ物流に配慮することで得られる効果を説明。大規模建造物を建築する際に、設計段階で物流関係者との協議を経て物流に配慮したものとなるようにすること、そのための手順をルール化することを求めた。

提言によると、これまでの大規模建築物の多くは、(1)入り口の高さ制限により、貨物車両が入構できない(2)荷捌き場、駐車スペースの不足により路上荷役作業が発生し、それがもとで周辺道路の渋滞や環境悪化、貨物車両の二人乗務などが発生する(3)貨物用エレベーターの未設置、不足による長い手待ち時間が発生する(4)館内動線の不備により、円滑な搬出入の阻害、人の移動との交錯が発生する――など、物流上の支障をきたしてきたと指摘。

その上で「東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機として、今後の大規模建築物の建設に際し、物流の業務に対して適切な配慮を行」うよう求めた。

こうした配慮を行う効果として、円滑な作業の実現により業務効率化が可能となるほか、建物の所有者にとっては荷物の滞留や周辺道路の渋滞が発生しないことで、建物の資産価値向上につながること、テナントは的確な物流サービスに支えられて建物内での円滑な活動や業務が可能となり、一般消費者も快適で安全に利用できること、地域社会にとっては建物内の荷役作業により、周辺での路上駐車・荷役がなくなること――などを挙げた。