ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

三和倉庫は7月29日に上場廃止

日本曹達、8月1日付で三和倉庫を完全子会社化

2015年5月12日 (火)

M&A日本曹達は12日、同社が53.67%の株式を保有する三和倉庫の全株式を8月1日付で株式交換によって取得し、完全子会社化すると発表した。これにより、東証二部に株式を上場している三和倉庫は7月29日に上場廃止となる。

海外移転が進んだ化学品の生産拠点は、円安が進行しても国内回帰の傾向とならず、日本曹達では「国内でビジネスチャンスの喪失につながる」とみており、三和倉庫でも主力貨物となっている化学品の国内生産が縮小することで競争が激化していく見込み。

こうした背景に加え、三和倉庫では収益源となる倉庫群がすでに高稼働の状態となっており、今後の収益拡大の余地が少ない状況となっていることから、倉庫群の高品質化・高機能化・高付加価値化を含めた再構築の必要性が増している。しかし、これらの設備投資に伴う減価償却費負担の発生は「今後の三和倉庫の業績に少なからず影響をもたらす」(日本曹達)とみられていることから、日本曹達が三和倉庫に株式交換を申し入れた。

三和倉庫は1950年に日本曹達の運輸・倉庫部門が独立する形で設立。当初は、主に日本曹達の製品を独占的に保管・運搬することで事業を継続していたが、次第に化学品の危険物を中心とした保管・取扱技術を獲得。同時に運送事業や保険代理事業などにも業容を拡大した。

現在では医薬品専門の定温倉庫など高機能物流施設を開設するなど、強みとする危険物・毒劇物・医薬品の取り扱いを中心に総合的な物流サービスに注力。国内9か所の事業所と運輸子会社1社で構成する全国規模の中堅物流会社となっている。

日本曹達は、三和倉庫との連携をさらに強めることで、高度な物流機能やロジスティクスノウハウを活用できるようになり、グループ全体の事業展開に戦術上の大きな効果が生まれると期待。

また、三和倉庫は日本曹達の完全子会社となることにより、グループ全体で取扱品目や物量を増やして収益基盤を強化、長期的な視点で倉庫の新設など必要な大型の設備投資を立案・実施できるようになる。

短・中期的には減益要因になるものの、既存倉庫群の高品質化・高機能化・高付加価値化することでサービスの差別化を図り、グループ外取引の増加・拡大につなげていく。

日本曹達グループ内の経営資源、インフラ、情報などを共有することで、これまで三和倉庫が単独で行わざるを得なかった非現業部門での投資などを抑制でき、間接部門の縮小や管理業務の効率化につながるメリットも期待される、としている。