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UPS、日本は「自社業績に悲観的」、アジアの中小企業意識調査

2010年7月8日 (木)

国際UPSは8日、アジア地域の中小企業の競争力に関する意識調査、2010年「UPSアジア・ビジネスモニター」の調査結果を発表した。調査結果では、アジア地域経済の回復が中小企業による展望から垣間見える一方で、「日本の中小企業の慎重な姿勢、競争力の維持・差別化に向けた方向性などが表れている」としている。

 

調査は2005年から毎年行われ、今年で第6回目。アジア・太平洋13か国・地域の中小企業約1350社を対象に、経済成長、雇用、貿易拡大に関する見通し、中小企業の競争力や懸念事項などについて、見解や認識を調べたもの。

 

調査結果によると、日本の中小企業はアジア地域の経済成長への期待は高い一方で、自社の業績の見通しに関してはもっとも悲観的だった。「業績が改善する」とした回答は24%にとどまり、13か国中もっとも低く、従業員数の見通しについても引き続き厳しく、「増やす」とした回答がわずか10%、「変わらない」が79%、「減らす」が11%という結果になった。

 

また、「中小企業の競争力向上のために必要な要素」としては、「財政的支援および運転資金の調達」が重要度(78%)・不足度(69%)ともに最も高くなり、「人件費」(重要度73%・不足度65%)、「政府支援」(重要度71%・不足度67%)が重要度・不足度ともに高い位置を占めるなど、資金繰りや公的支援に関する項目への高い切望感が表れた。

 

新興国が急速に成長するなかで、日本経済が引き続き成長していくために必要な要素については「高い技術力による付加価値のある製品・サービスの生産」が全体の66%と多数を占めた。一方で「海外の人材の積極的な受け入れや登用」(10%)、「販路や生産拠点を海外に求めるといった日本企業の海外進出」(5%)など国外に目を向けた回答を選んだ企業は少数にとどまった。

 

中小企業の大企業に対する競争力については、日本では「特定の分野により特化する」(24%)「職人的な技能・技術」(13%)という回答が多く、日本の中小企業が専門性や技術力を通じて大企業との差別化を図っていこうとする姿が浮かび上がった。

 

今後3-5年間に自国を支える産業を3つ挙げる設問では、上位に「自動車」(45%)、「再生可能資源・エネルギー」(38%)が選ばれており、環境対応車や新興国需要に期待のかかる自動車産業や環境関連産業が中心となって今後の日本経済をけん引していくことへの期待が表れている。