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IMO、国際海運にCO2排出規制導入、日本案ベース

2011年7月19日 (火)

ロジスティクス国際海事機関(IMO)の海洋環境保護委員会は15日、日本が主導的な立場で作成した国際海運でのCO2排出規制を世界で初めて導入するための海洋汚染防止条約(MARPOL条約)の一部改正案を審議し、改正案を採択した。

 

気候変動枠組条約・京都議定書は、国際海運には適用されておらず、IMOでCO2排出量の抑制対策を検討することとされていた。国際海運から排出されるCO2は、2007年で約8.7億トン(世界全体の排出量の約3%。ドイツ一国分に相当)だが、発展途上国などの海上貿易量の増加に伴い、将来的に大幅に増加していくことが予想されており、CO2排出抑制の国際的枠組みの確立が急務となっていた。

 

日本は世界有数の海運・造船国であり、2008年以降39の提案文書を提出するなど、IMOにおける国際海運からのCO2排出抑制対策の審議を主導しており、今回の改正案も日本提案がベースとなっている。

 

今回の改正で2013年以降に建造される船舶に対する船舶のCO2排出指標(EEDI)の導入と、これに基づくCO2排出規制の実施、省エネ運航計画(SEEMP)の作成が、2013年1月から義務付けられる。

 

2013年以降、新たに建造される船舶は、船舶の種類ごとに設定されたCO2排出基準を満たすことが要求され、基準は段階的に強化されるため、将来的に、船舶は燃費性能の優れたものに入れ替わることとなる。また、現在運航中の船舶も、省エネ運航計画の作成が義務付けられ、運航効率の向上などに取組むことになる。こうした対策により、何らの対策も講じない場合に比べ、2030年には約20%、2050年には約35%のCO2排出量削減が期待される。

 

国土交通省では、IMOでの国際的枠組み作りの主導と並行して、国際規制の導入に先行した船舶の革新的省エネ技術開発の促進を戦略的に推進しており、09-12年度の4か年計画で、CO2排出量30%削減を目標に、海運・造船・舶用工業業界が連携した技術開発プロジェクト22件が国の支援を受けて実施されている。

 

今回の改正により、これらの技術がマーケットに導入される環境が整ったことから、同省では「我が国の海事産業の技術力が国際競争力の向上に結び付くものと期待される」としている。