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「消火剤届かず消火断念」、火災の経緯判明

国交省、苫小牧沖フェリー火災受け対策検討委設置

2015年9月2日 (水)

行政・団体7月31日に苫小牧沖で発生したフェリー「さんふらわあだいせつ」の車両甲板火災を受け、国土交通省は1日、消火活動で課題が判明したとして、火災・消防に関する専門家を集めて「フェリー火災対策検討委員会」を設置すると発表した。

国交省海事局は、事故発生から特別監査を開始し、船員からの聞取り、船内火災現場の確認を実施。出火原因、火元はまだ明らかになっていないが、特別監査の結果、当初は火勢がさほど強くなかったにもかかわらず、消火剤が届かなかったことで火の勢いが強くなり、最終的に消火を断念せざるを得なかったことがわかった。

海事局ではこうした経緯を重視し、専門家からなる委員会を設けてフェリーの火災対策を検討することにした。月内に初会合を開く。

特別監査で判明した経緯によると、フェリーでは当初、火災探知機による警報を受けて乗組員が火災現場に向かい、冷凍車の冷凍機のカバーのスリットとその上部からの炎を確認。当初は火勢もさほど強くなく、乗組員は迅速に消火器を用いて冷凍機のスリットから消火剤を注入することを試みたが、冷凍機のカバーに阻まれて燃えている箇所に直接、消火剤をかけることができなかった。

さらに、消火ホースによる消火を開始したものの、積みつけられた車両の間隔が狭く、燃えているか所に有効に水がかかる位置から放水できなかった。その後、水噴霧装置で消火を開始したが、火勢を押さえることをできず、黒煙が立ちこめ、照明も消えたことから、消火を断念したという。