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南海通運、ミャンマーから陸路タイ経由の輸送開始

2015年11月4日 (水)

ロジスティクス南海通運(大阪府泉大津市)は4日、ミャンマー国内工場から陸送で国境を経てタイ・バンコクへ、さらにバンコク港から船便で日本主要港へ一貫輸送する物流サービスの提供を今月から開始した、と発表した。

南海通運、ミャンマーから陸路タイ経由の輸送開始


バンコク経由陸海ルートとシンガポール経由海上ルート
(以下、出所:南海通運)

4月に発表したバンコクからミャンマー・ヤンゴンへの国境陸送混載便による輸入に続くサービスで、順調に物量・荷主数が伸びていることに加え、衣料縫製関連の荷主から「逆方向のミャンマー発日本への輸出に対する納期短縮」の要望が寄せられたことから、新サービスを提供することにした。

新サービスでは、ミャンマーから陸送(トラック)でバンコクまで運び、バンコク港から船便(FCL)で日本主要港まで届ける「バンコク経由陸海ルート」を、13-15日の納期で実現。シンガポール経由海上ルートに比べ、1週間の納期短縮となる。

ドアツードアの納期で比較した場合、同社の陸送ルートを使えばタイから出荷の資材の送り込みで10日間短縮、日本向けの完成品の輸出で1週間の短縮、合わせて2-3週間のリードタイム短縮が可能となる。

ミャンマーの商品を日本へ輸入する際に、輸入関税の優遇を受けることができる制度として、特恵(フォームA)、日本・アセアン包括的経済連携協定(フォームAJ)などあり、ミャンマーから日本向けにバンコク経由(第三国経由)の国境陸送物流を使った場合、この制度の利用の可否が不明だった。そこで、同社はトライアルを重ね、自社の仕組みを使うことで問題なく対応できることを確認したことから、今回の発表に至ったという。

ミャンマー国境の町・ミャワディからコーカレイまでの40キロの山岳部の悪路が国境物流のネックの一つとなっていたが、8月下旬にバイパス道路が開通し、大幅に安全性が改善。相互通行も可能となり、4時間の山越えが40分程度に短縮されたため、利便性が高まった。米国から受けている経済制裁に伴う港湾貨物や航空貨物の混乱を回避する「第3のルート」としても注目を集めており、「国境物流の重要度がさらに増すことは間違いない」(同社)。

南海通運、ミャンマーから陸路タイ経由の輸送開始

▲15年8月末に開通したミャンマー山岳部を迂回する新バイパス道路

ミャンマーとタイの間では現在、トラックの相互乗り入れが認められていないため、国境で載せ換えとバンコクでコンテナバンニングを行う必要があるため、価格面ではヤンゴンからコンテナ船を使ったほうが有利だが、陸上輸送には納期短縮と貨物追跡情報の透明化効果が見込まれる。

同社は今後「価格を抑える方法として、トラックの両国相互乗り入れの一日も早い実現が望まれるが、往復の貨物を増やすことでトラックの利用効率を上げるなどの企業努力により、国境物流のさらなる安定化・低価格化・利便性の追求を推し進めていく」としている。