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住田正一海事奨励賞に山岸寛著「海運70年史」

2015年12月2日 (水)

認証・表彰日本海運集会所は1日、今年度の住田正一海事奨励賞に山岸寛著「海運70年史」(山縣記念財団)を選び、11月17日に授賞式を行ったと発表した。

海事史奨励賞に伊藤玄二郎著「氷川丸ものがたり」(かまくら春秋社)と南極OB会編集委員会編「南極観測船『宗谷』航海記」(成山堂書店)、海事技術奨励賞に惠美洋彦著「英和版新船体構造イラスト集」(成山堂書店)をそれぞれ決定した。

住田正一海事奨励賞は、海運、造船事業に従事するかたわら、海事資料の刊行や廻船式目の研究などを通じ、広く海事文化の発展に寄与した故住田正一氏の功績を記念して1969年に創設された。

■評(日本海運集会所)
本書は、山縣記念財団の創設 70周年と期を同じくして戦後 70年間の世界と日本の海運の発展や変遷の歴史を研究し、まとめ上げた記念的な著作となった。海運先進国である英国や米国の盛衰並びに便宜置籍船、 便宜置籍国という国際海運の構造変化や安全運航・環境保全の強化、そ して海運のグローバル経営が語られる一方、日本の高度経済成長に呼応 し成長した日本海運が、戦後の海運助成策とその廃止、仕組船、外国人船員の配乗による構造変化と経営に重大な影響を及ぼしてきた円高な どの問題にどのように取り組んできたかを考察している。

本書は、歴史的経緯を整理しただけではなく、日本海運が継続し抱えている構造問題、世界の海運企業の合従連衡の状況、海上荷動きの変化 とその対応など現代的な問題についても解説しており、海事史の研究に留まらぬ点を評価し、海事奨励賞とする。