三菱重工、原子力災害時用｢パワーアシストスーツ｣開発

サービス・商品三菱重工業は1日、日本原子力発電と共同で、原子力災害時などに作業員の力を補助する「パワーアシストスーツ」を開発したと発表した。

このパワーアシストスーツを装着することで、40キロ分の重さを補助できる。開発に際し、アクティブリンク（奈良市）とも作業支援機器の可能性調査などで協調した。

原子力災害時には放射線環境下で作業を行うため、遠隔ロボットの活用が期待されているが、現実にはロボットの操作開始までの準備作業、緊急時の素早く柔軟な対応のために、人間による重作業を必要とする状況が発生しかねない。

こうした状況で作業員の負担を軽減するために開発したもので、被ばく低減効果の高い「重遮へいスーツ」を装着した作業や、遠隔ロボットや非常用電源などの運搬といった重作業が可能になる。

パワーアシストスーツは、ベースとなる下半身パーツと目的に応じた上半身パーツを組み合わせることで、多様な作業に対応する。

一般に用いられている筋電位などの生体情報を用いたパワーアシストスーツに比べ、足裏の力センサー信号を利用したパワーアシストスーツの制御、腰部と足部のみで人間とパワーアシストスーツを固定する構造を採用することで、重労働でも汗の影響を受けない信頼性と容易な着脱を実現した。

原子力向けロボットに用いる小型・高出力のモーターと自社開発の小型基板を採用し、アシスト力と軽量・小型化を両立させた。足裏の力センサーは、数・配置を最適化することで、作業員の動作を適切に読み取り、動作を妨げないアシスト制御を実現した。