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資生堂、400億円投じ大阪に生産・物流一体の旗艦拠点

2016年2月3日 (水)

メディカル資生堂は3日、400億円を投資し、大阪府茨木市にスキンケア製品のマザー工場と関西エリアの物流を集約する物流拠点を建設すると発表した。同社は新拠点を「グローバルサプライチェーン拠点」に位置付けており、新物流拠点の運営についても「既存のアウトソーシング先に委託するかどうかを含め、決まっていない」とコメント、日立物流グループに全面委託している物流戦略を部分的に転換する可能性が出てきた。

▲新拠点のイメージ

▲新拠点のイメージ

同社の国内物流業務は、かつて資生堂物流サービス(現日立物流コラボネクスト)が一元管理する体制となっていたが、2007年4月に資生堂物流サービスの株式を日立物流に譲渡して物流業務を全面委託するとともに、物流施設9か所をプロロジスへ売却するなど、物流戦略を大きく転換した。新物流拠点の運営を日立物流グループ以外への委託や自社運営を選択することになれば、部分的とはいえ、同社の物流戦略が転換されることになる。

資生堂、400億円投資し大阪に生産・物流一体化の旗艦拠点茨木市に建設する新拠点は、既存の大阪工場を移転・拡大してスキンケア製品のマザー工場として運営するとともに、物流施設も「関西統合センター」の仮称で新設し、大規模な物流施設としては07年以来の自社拠点とする。

現在も同社の物流業務は日立物流コラボネクストがほぼ全面的に担う体制となっているが、「日本を含むグローバル市場のニーズに的確に対応していく」ことを掲げる新拠点は、3PL事業者へ運営を委託することの是非を含め、「今後の検討課題」とする方針だ。

新大阪工場は、高品質なスキンケア化粧品の生産・供給体制強化を狙いとして現工場の生産機能を移転。生産能力を1.5倍に引き上げ、同社の「グローバルサプライチェーンマネジメント構想」で中核となるスキンケア化粧品のマザー工場の役割を担う。

関西統合センターについても、同じ敷地内で国内外向けの物流機能と商品の保管・出荷機能を併せ持つ「新物流旗艦拠点」として運営していく計画で、18年度に着工し、20年度から稼働に入る。

これまで工場(生産)・物流センター(保管)・商品センター(出荷)の機能別に分かれていた物流フローを統合し、原材料の入出庫・保管、工場で生産した商品の保管・出荷までを一体で行う。また、最新の物流技術を導入し、ロボットを活用した商品の仕分け、ピッキング、保管が行える効率性の高いピッキングシステムなどを採用する。

これにより、短時間・低コスト運用を進め、商品供給体制の効率を高める。将来的には、海外の顧客や市場のニーズにも素早く対応するため、物流ハブ機能としての充実も視野に入れる。

同社のスキンケア化粧品は、高品質な「メイド・イン・ジャパン」製品の象徴的存在として、日本国内だけでなく、中国、アジアなど世界中で積極的に需要を拡大する戦略を進めており、新たなグローバルサプライチェーン拠点は、「グローバル戦略をバックアップする存在」として、重要な地位を占めることになる。

同社のグローバルサプライチェーン戦略は、生産工場で発生する製造原価だけでなく「市場までのリードタイムや在庫、原材料調達などさまざまな要素を加味し、どこで・どの商品を作るべきかを判断・決定する」など、柔軟に対応できる体制づくりに取り組んでいる。

また、需要予測・供給計画などのS&OPシステムを世界レベルで導入し、市場の動きとサプライチェーンを統合させ、「必要な時に、必要なだけ作り、顧客へタイムリーに届ける」というサプライチェーン像を目指す。

このほか、横浜市で18年度末に稼働を開始する「グローバルイノベーションセンター」で行われる研究開発と連動しながら、「高品質なスキンケア商品を安定して市場に供給できるサプライチェーンプロセスのイノベーション拠点」として、サプライチェーン全体のイノベーション強化を狙う。省エネ、輸送の削減を追求し、生産と物流拠点の一体化による相乗効果につなげる。

新・大阪工場では、経口薬製造で採用されている基準と同等の国際規格ISO22716に準拠し、組織編制から設備、衛生、人材、原料・梱包資材、廃棄などに至るまでの厳しい製造・品質管理を徹底。「ロボットと人が協働しながら高効率な生産技術を創造する『未来を創る工場』」として、自社のものづくりをリードしていく。

■新・大阪工場、関西統合センター(仮称)の概要
工場名称:資生堂大阪工場
物流拠点名称:資生堂関西統合センター(仮称)
建設予定地:大阪府茨木市彩都東部地区
土地面積:7万2350平方メートル(2.2万坪)
工場建築面積:1万5000平方メートル
物流拠点建築面積:1万3000平方メートル
工場階数:地上4階建て
物流拠点階数:地上5階建て
新工場生産品目:スキンケア製品など
新工場生産能力:年間1億個
投資規模:400億円
着工時期:2018年度中
稼働開始:2020年度中