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宇部興産とJA全農、大粒硫安の増産・出荷で合弁会社

2016年4月13日 (水)
宇部興産とJA全農、大粒硫安の増産・出荷で合弁会社

▲大粒硫安

荷主宇部興産とJA全農は、大粒硫安(窒素質肥料)の増産と出荷・管理を担う合弁会社を設立することで合意した。5月をメドに設立し、2018年4月からの営業開始を目指す。

日本では肥料の3大要素とされる窒素・りん酸・加里のうち、りん酸質肥料、加里質肥料のほぼ全量を輸入に頼っており、代表的な窒素質肥料の硫安は、ナイロンの原料だカプロラクタムの副産物などとして、主要肥料ではほぼ唯一、国内で生産されている。

国内で50万トンが肥料用として流通しており、このうち15-20万トンは大粒品(平均粒径2ミリ超)で、一種類で散布する用途(単肥)向けと、粒状の原料を混ぜ合わせた低コストなバルクブレンディング肥料の原料向けとして広く使われ、残りは通常の硫安(粉・細粒)で、主に化成肥料の原料と一部は単肥に使用されている。

硫安を大粒化するためには、硫安水溶液を循環・濃縮・結晶化させる基礎的な晶析技術のほか、大粒化のための特殊技術が必要だが、設備を持つ工場が限られているため、国内では年間6万トンの大粒硫安が不足。割高な輸入品などを手当てしている。

そこで、硫安の国内最大手となっている宇部興産とJA全農は、大粒硫安の増産について協議、検討を重ねて、宇部興産がカプロラクタムの副生物として生産する硫安の大粒化新製造ラインを建設することを決めた。

新ラインは山口県宇部市の宇部ケミカル工場内に年間6万トンの製造能力を持つ設備を設け、18年4月から稼動させる。

増産された大粒硫安は、JAグループを通じて単肥、BB肥料用の原料として全国の農家に供給し、高品質な国産大粒硫安の安定供給と農家の生産コスト低減を促す。

宇部興産とJA全農は、大粒硫安の貯蔵・出荷設備を建設して新ラインで増産された大粒硫安の出荷・管理業務を担う合弁会社を5月に設立。新ラインの稼動と同時期に合弁会社の貯蔵・出荷設備も完成させ、出荷・管理業務を開始する。