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東京ガス、水素製造時のCO2活用で千葉大と共同研究

2011年11月24日 (木)

環境・CSR東京ガスは24日、同社が地域水素供給インフラ技術・社会実証事業の一環として運営する燃料電池自動車向けの「羽田水素ステーション」(東京都大田区)で回収したCO2を、千葉大学が運営する「農林水産省植物工場千葉大学拠点」(千葉県柏市、千葉大学植物工場)に12月から供給すると発表した。

 

水素ステーションで都市ガスから水素を製造する際に発生するCO2を回収し、植物工場で有効利用する試みで、東京ガスと千葉大学の共同研究として行う。

 

東京ガスは、羽田水素ステーションでCO2を回収し、液化して160キログラム入りのCO2ボンベに詰め、千葉大学植物工場に車で運搬する。当面は、敷地面積約1000平方メートルのトマト栽培施設に、毎月ボンベ2本、約320キログラムのCO2を供給する。

 

千葉大学植物工場では、運搬した液化CO2をトマト栽培施設の近くに設置した受け入れ設備で気化し、トマトに与える。植物の光合成速度はCO2濃度に比例して高まる性質を踏まえ、大気中では約400ppmのCO2濃度を共同研究では約1000ppmまで高める。

 

人為的にCO2濃度を高めることによって、通常は1平方メートルあたり約40キログラムのトマトの年間収量を約50キログラムまで増やすことや、甘みが強く品質の高いトマトを生産することが期待できるという。

 

この共同研究で、東京ガスは水素ステーションから回収したCO2を、植物工場などで有効利用するために供給する場合のコストの検討を行う。千葉大学では、主に回収したCO2の植物工場内での有効な利用方法などについて研究するとともに、回収CO2を植物に与えることの効果を評価する。

 

東京ガスの羽田水素ステーションは、2010年12月に開所し、羽田空港と都心間を運行する燃料電池バスや燃料電池タクシーに、燃料として供給する拠点。水素は使用時にはCO2を発生しないエネルギーだが、都市ガスから水素を製造する際にCO2が発生する。

 

羽田水素ステーションでは現在、水素製造時に発生するCO2を分離・回収し、1時間に約10キログラムのCO2を液化する実証を行っているが、回収したCO2の有効利用が課題となっていた。回収したCO2の植物工場への運搬、供給は、東京ガスが東京ガスケミカルに委託して行う。