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「賃貸型」物流事業所の増加傾向鈍化、近畿圏物資流動調査の最新結果

近畿の倉庫業事業所、築30年以上が4割占める

2017年1月19日 (木)
築30年以上-2
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調査・データ10年に1回行われる近畿圏物資流動調査の最新結果(速報値)が19日、発表された。調査は京阪神都市圏交通計画協議会が2015年10月から11月にかけ、近畿2府4県の製造・運輸業のうち6万5000社を対象に実施し、1万4000社が回答。事業所ごとの物流機能や立地特性、発生集中量、搬出・搬入圏域といった基礎情報を把握・分析した。

調査結果によると、新名神高速道路や名神高速道路の周辺エリアから関東・中部方面への物流量が1.2倍に増加したほか、事業所のおよそ3割が建設から30年以上経過していること、物流関連事業所の立地に際して「労働力の確保」を重視する回答が増え、立地ニーズに変化がみられることがわかった。

前回調査(1995年度)以降の新規立地は、大阪市全体で5900件、大阪府北東部(東大阪市)で700件。高速道路ネットワークが整備された地域で事業所の立地が多くみられ、新名神高速道路周辺地域では大津市・甲賀市でそれぞれ250件・110件、第二京阪道路周辺地域では枚方市・寝屋川市でそれぞれ380件・190件の新規立地があった。

高速道路周辺の事業所からは、近畿圏外への広域的な物流がみられた。中国・九州方面への物流量に変化が見られなかった一方、関東・中部方面へは物流量が1.2倍に増加し、物流インフラの整備が物流量の増加に影響していることをうかがわせた。

こうした結果を受け、協議会は今後、事業所の立地の現状や物の動き、物流に関するニーズの分析を進め、広域物流ネットワークの構築、近畿圏における物流施設の適正立地を促す施策を検討する。

■近畿2府4県、築30年以上の倉庫業事業所4割占める
近畿圏に立地している事業所のうち、建設から30年以上が経過している事業所の割合は全業種で3割、製造業・倉庫業に着目するとそれぞれ5割・4割となった。特に、建設から30年以上経過している「物流機能を保有する事業所」に着目すると、姫路市から和歌山市までの臨海部全体で850件、内陸部では京都市域・大阪府北東部(東大阪市、八尾市)・奈良県北部(奈良市)・滋賀県東北部(彦根市)などでそれぞれ80件を超える事業所が住居系用途地域に混在立地しており、「道路交通や環境面での影響」が懸念される状態にあることがわかった。

そこで、協議会では今後、老朽化が進行している事業所に対して適切に機能更新を促す施策を、居住地では物流施設と住宅の混在による影響への対応を検討する。

■物流拠点に「労働力の確保しやすさ」求める声増加
近畿圏で物流機能を保有する事業所に対し、敷地の広さを重視する声が減少する一方、労働力の確保しやすさを重視する声が増加するなど、事業所の機能・形態やニーズに変化が見られた。

近畿の倉庫業事業所、築30年以上が4割占める

物流業務の一部かすべてを外部委託をしている物流関連事業の割合は全体の8割を占め、物流効率化に向けた取り組みが進んでいることが裏付けられた。また、物流関連事業所の敷地所有形態として「賃貸型」の割合が高まっているものの、近年はその傾向が鈍化していることも判明した。

近畿の倉庫業事業所、築30年以上が4割占める02

物流関連事業所を新設・移転する場合に求める条件は、前回調査に比べて「十分な敷地の広さが確保できること」の必要性が低下。一方で、パート・アルバイトなどの人員を確保しやすいことが重視されていた。

このほか、保管機能を持つ物流関連事業所の割合は減少傾向にあったが、近年はその傾向が鈍化していた。
近畿の倉庫業事業所、築30年以上が4割占める