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国交省、物流センサス15年調査の最終結果公表

貨物量5年で2.4%減少、関東・中部の発地ウェイト低下

2017年5月9日 (火)

話題国土交通省は9日、10回目となる全国貨物純流動調査(物流センサス)の最終的な調査結果をまとめ、公表した。2015年に14年度の流動量を調べた結果を集計したもので、昨年12月に公表した速報版の通り、鉱業、製造業、卸売業、倉庫業の4産業全体からの出荷量は10年の調査時より2.4%少なく、1975年調査と同水準の25.3億トンとなった。減少幅は縮小した。1日あたりの流動量は693万トン。

70年以降、最も年間出荷量が多かったのは90年の36億1000万トンだが、15年までの25年間で30%減少していた。

出荷産業別で最も多くの貨物を出荷しているのは製造業で、卸売業、鉱業、倉庫業の順に出荷量が多い。10年調査と比べ、鉱業、倉庫業は出荷量が増加したが、製造業、卸売業は減少しており、特に卸売業は13%の大きな減少幅を記録した。最も年間出荷量が多かった90年との比較では、鉱業が59.2%、製造業は24.1%、卸売業は30%、倉庫業は4.4%と、いずれも減少した。

品類別で最も出荷量が多いのは化学工業品で、鉱産品、金属機械工業品の順に出荷量が多く、これら3品類で全体の73.6%を占めた。10年調査と比べ、鉱産品、林産品を除く品類で出荷量が減り、最も出荷量の減少率が大きかったのは、金属機械工業品の7.8%。

「発都道府県」別では愛知県、千葉県、神奈川県、大阪府、北海道、福岡県、兵庫県、茨城県、東京都、岡山県の順に出荷量が多く、この上位10都道府県で全国の50.3%を占めた。発地域(全国10地域)別の年間出荷量は関東、中部、近畿の順に出荷量が多く、10年調査と比べて発地域の構成に大きな変化はみられなかったが、関東、中部発のウェイトが低下した。

年間出荷量は10年に比べ16道県で増えたが、鉱業は東日本エリアで増えた一方、31都府県で減少。特に北陸信越から西側の地域で減少率が大きい県が多くなっている。製造業は東北と中国で増加率が大きい県が多い。倉庫業は、北陸信越の各県で増加率が大きくなり、卸売業は44都道府県で貨物量が減少した。

貨物が出荷されて目的地に到着するまでに利用された輸送機関のうち、最も長い距離を輸送した輸送機関はトラックで、全流動量の84.3%。自家用トラックの分担率が減少傾向を辿り、営業用の比重が高まっている。

10年調査時に比べ、海運、鉄道のシェアは拡大したが、トラックはシェアを落とした。輸送距離が長距離化するほど海運、鉄道のシェアが高まる傾向を示した。

地域間流動は関東-中部間流動が全地域間流動量の11.8%を占め、近畿-中部間、近畿-中国間、関東-近畿間、関東-東北間、中国-九州間が上位となった。

出荷1件あたりの平均貨物量(平均流動ロット)は0.98トン。平均流動ロットは減少傾向にあったが、10年から15年までの5年間ではわずかに増加する結果となった。流動ロットの構成を件数ベースでみると、0.1トン未満の貨物が79.2%を占め、10年15年で0.1トン未満の貨物の占める割合が拡大した。

産業間の流動量を重量ベースでみると、全流動量の33.5%を製造業相互間の流動が占めた。製造業→建設業、倉庫業→製造業、卸売業→製造業、製造業→卸売業の順に流動量が多い。製造業→製造業のウェイトが高まり、製造業→建設業、製造業→卸売業、鉱業→建設業のウェイトが低下する傾向を示した。

流動量を件数ベースでみると、卸売業→小売業・飲食店、製造業→製造業、卸売業→金融・サービス・公務・その他、製造業→卸売業、製造業→小売業・飲食店の順に流動量が多くなった。重量ベースと比較すると、卸売業発の貨物、小売業・飲食店、金融・サービス・公務・その他向け貨物の割合が高いのが特徴。重量ベースとは異なり、製造業→製造業のウェイトが低下する傾向にある。