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公取委、荷主707人が「物流特殊指定違反」のおそれ

2017年5月24日 (水)

調査・データ公正取引委員会は24日、2016年度の下請法の運用状況と中小企業の取引条件の改善に向けた取り組みを公表した。

下請法違反行為に対する16年度の勧告件数は11件で、前年度に比べ7件増えた。勧告の対象となった違反行為類型の内訳は、下請代金の減額が7件、下請代金の減額・返品が1件、下請代金の減額・不当な経済上の利益の提供要請が1件、下請代金の減額、返品・不当な経済上の利益の提供要請が1件、購入・利用強制が1件だった。

指導件数は過去最多の6302件となり、前年の5980件から322件増加。下請事業者が被った不利益については、親事業者302人から、下請事業者6514人に対し、下請代金の減額分の返還など総額23億9931万円相当の原状回復が行われた。

中小企業の取引条件の改善に向けた取り組みでは、独占禁止法の運用を強化することとし、物流特殊指定の順守状況・荷主と物流事業者との取引状況を把握するための書面調査について、調査対象を昨年度に比べて倍増させ、荷主3万人・物流事業者4万人を対象とする書面調査を実施した。

物流特殊指定は、独禁法上の「優越的地位の濫用」規制に基づき「特定荷主が物品の運送または保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」を規制する、物流事業者を保護するための規制。

調査の結果、「物流特殊指定に照らして問題となるおそれがある」と認められた707人の荷主に対し、物流事業者との取引内容の検証・改善を求める文書を発送した。

該当する707人の荷主のうち、業種について回答のあった698人を業種別にみると、製造業が最も多く340人で全体の48.7%を占めた。次いで卸売業(149人、21.3%)、建設業(53人、7.6%)が続いた。

また、問題となるおそれがある行為791件を類型別にみると、代金の支払遅延が最も多く(329件、41.6%)、代金の減額(165件、20.9%)、割引困難な手形の交付(105件、13.3%)となっている。