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ヤマト、荷待ち時間解消へライオンと共同実験

2017年6月29日 (木)

調査・データヤマトホールディングスは29日、昨年4月に設立したヤマトグループ総合研究所がトラック納品時の待機時間を短縮する仕組みを開発し、7月3日からライオンと共同で実証実験を行うと発表した。

トラック輸送における納品時の待機時間が長時間労働を助長しているとして社会問題化する中、同社は全国物流ネットワーク協会などの業界団体やトイレタリー業界のメーカー、ヤマトロジスティクスと連携し、円滑で効率的な納品スキームを開発した。

ヤマト総研は12月までに実証実験の効果を検証し、実用化に向けて調整。ライオンの自社内拠点間の物流に適用するだけでなく、トイレタリー業界全体に展開し、トラック運送会社やトラック運送業務を伴う企業・業界向けにプラットフォームとして提供することを目指す。

ライオンとの実証実験は7月3日から9月29日まで、ライオン西日本保管倉庫(大阪府茨木市)とライオン小牧流通センター(愛知県小牧市)間で、RFIDの活用による納品業務の効率化の検証、予約システムの活用による待機時間短縮の効果検証を柱として実施する。

荷待ち時間は、納品場所に到着しても先着したトラックが複数台待機していたり、納品先で入庫検品作業が目視や手書きなどアナログ作業で行われていたりすることが、一因となっている。

一般的に納品はトラックの先着順に行われるため、納品開始時刻の数時間前から多くのトラックが待機し、結果として納品までに長時間の待機時間が発生。さらに、入庫検品時に目視や手書きなどアナログ作業が多く、入庫作業を荷受け場で行うため、入庫スペースが限られている場合は、先に納品された商品の処理が終わるまで次の作業を開始できず、待機時間が延びてしまうのが現状だ。

また、トラックから商品が納品されるまで「どの商品」が「どのトラック」の「どのパレット」に積まれているか分からないため、当日優先的に入庫したい商品があった場合でも、優先することができず、結果として庫内での作業遅延などが発生している。

そこで、ヤマト総研が考えたのが「発送元・ドライバー・納品先が携帯端末、RFID、ASN(事前出庫明細)データを活用する仕組み」だ。

(出所:ヤマトグループ総合研究所)

まず発送元・ドライバー・納品先が携帯端末で相互に入庫スケジュールの確認や連絡ができるアプリを活用すれば、事前に納品時刻や納品口の予約が可能になる点に着目。

さらに、発送元と納品先の拠点でRFIDを活用した入出庫検品業務を行い、出庫作業時にRFIDタグが添付されたパレット、商品、トラック情報を紐付けたASNデータを作成して事前に納品先に送ることにより、納品先ではRFIDタグの読み取りのみで検品作業が完了するほか、どのトラックを優先的に納品させるかといった車両の入庫スケジュールの調整が可能になると判断した。