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女性ドライバーの雇用意欲「高い」、全ト協調査

2017年7月25日 (火)

話題全日本トラック協会は25日、青年部会がトラック運送業界の女性雇用促進に関する実態調査結果をまとめたと発表した。

ドライバー不足に伴って女性の活躍が注目される中、女性の積極的な雇用促進を図るため、全国の青年部会員を対象に実態調査を行い、雇用状況、課題、定着している事業者の特徴などを明らかにした。トラック運送事業者やトラック協会が取り組むべき方向性にも言及している。

調査結果によると、女性ドライバーを雇用している回答者は38.3%、過去に雇用したことがある回答者は32.8%で、女性を雇用したことのない回答者は全体の3割未満。雇用したことがない回答者でも、6割以上が今後雇用したいと考えていることから、報告書では「現在の雇用状況にかかわらず、女性ドライバーの雇用意欲は比較的高い」との見方を掲載している。

回答事業者のドライバー人員は2011年から16年にかけて全体的に男女とも増加傾向にあり、このうち16年の女性ドライバー数(1者平均)は、小規模事業者で「0.2-0.3人」、中・大規模事業者で「0.9-4.9人」で推移。車両規模が大きくなるほど、女性ドライバーの人数は多くなる傾向にあることを示している。

回答事業者の全ドライバーに占める女性ドライバーの比率は2.8%で、11年と比べて0.4ポイント増加。ほとんどの規模で、16年の女性ドライバー比率が11年と比較して上昇した。

女性ドライバーの採用方法については、「社員、知人、取引先などによる紹介」と「ハローワーク」とする回答が上位を占める一方、インターネット求人や自社ホームページの利用は比較的少なかったことから、「採用側と求職者側の間に“人”が介在した形で、女性ドライバーを採用するケースが多い」としている。

採用の工夫としては、「女性を積極的に採用していること」や「女性が活躍していること」をアピールする傾向。短時間勤務や柔軟な休暇取得など、仕事とプライベートを両立しながら勤務できることを強調する事業者もみられる。

女性ドライバーを採用する上での悩みは、「女性ドライバーが可能な業務見直し」が45.4%で最多。「両立支援のための制度整備」(25.9%)や「女性ドライバーを迎えるための社内設備」(25.4%)とする回答もみられるなど、インフラや制度などのハード面の悩みも少なくなかった。

女性ドライバーの運行形態は、「近・中距離」(62%)が最も多く、「市内配送」も半数以上を占めた。多くの女性ドライバーは比較的乗務範囲が限定された形の業務が多くなっているとみられる。女性ドライバーが乗務している車両の種類は、「中型車」が全体の半数以上を占め、車両形状は「バン車」が72.8%で最も多かった。

輸送品目は「食料品」が39.4%と最も多く、次いで「日用品」(26.5%)の順。比較的軽く、近距離で運べる身近な品目を輸送している傾向がみられた。従事していている荷役作業は、「手積み・手卸し」と「フォークリフトによる積込み・取卸しなど」が全体の半数以上となった。

給与体系は「基本給プラス時間外手当」が半数以上を占め、「基本給プラス歩合給プラス時間外手当」も、4割以上となった。このことから、報告書は「女性ドライバーに対しては、従来ドライバーに多く適用されてきた『歩合給を基本とした賃金体系』ではなく、『より安定した固定型賃金体系』を採用する傾向にある」との見方を掲載している。

雇用状況別に経営者として何を望むかを分析した結果は、「採用、育成の勉強会やノウハウ」とする回答がいずれの回答者でも平均的に多くなった。「荷主と一体化した取り組み」や「職場外のインフラ整備」の回答が多く、「女性ドライバーを雇用し活用するためには、社内の取組以外にも、荷主など取引先の理解促進や、連携の充実が必要」と指摘している。