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川崎汽船が重量物船事業から撤退、PJ貨物需要低迷で

2017年7月26日 (水)

話題川崎汽船は26日、同社傘下でドイツを本拠に重量物やプロジェクト貨物の海上輸送を手がけるSALヘビーリフトの全株式を売却し、重量物船事業から撤退することを発表した。売却先は同国の船舶投資・保有会社で、譲渡額は非公表。

同社は石油関連のプラント輸送などの需要を見込んで重量物船事業に参入するため、2007年にSALヘビーリフトの株式50%を取得し、11年には残る50%を買い増して完全子会社化したが、原油価格の低迷が長期化。プロジェクト貨物の需要が盛り上がらずSALヘビーリフトの業績を直撃した。

特に直近2年間の単独決算は営業損益段階から赤字に転落し、17年3月期には1億3362万ユーロ(173億円)の売上に対して9746万ユーロ(127億円)の最終赤字へと赤字幅が拡大、2512万ユーロ(32億円)の債務超過に陥っていた。売上高も減少傾向を辿り、17年3月期の売上高は15年3月期から33.7%縮小している。

川崎汽船は「多角化の一環として重量物船事業に参入し、輸送できる貨物の重量などを強みに決して小さくない需要を感じていたが、主力のエネルギーや自動車などの不定期・専用船事業、コンテナ船事業を取り巻く環境が厳しさを増す中、同事業からいったん退くことを選択した」と説明、主力事業の再構築を優先するための判断であることを示した。

重量物船事業を通じて得た顧客企業とのつながりを今後の物流展開に生かしていくという。