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ブロックチェーンが物流にもたらす影響は JLLが報告

2018年6月11日 (月)

話題物流にブロックチェーン(分散型台帳技術)がもたらす影響とはーー。JLL(ジョーンズラングラサール)が11日に発表したレポート「サプライチェーンにおけるブロックチェーン」では、ブロックチェーンが物流にもたらす5つの影響について、分析している。

レポートでは、物流分野にフ?ロックチェーンを導入することによる変化の一つ目として、「サプライチェーン上の異なるプレイヤー間で情報共有が容易になること」を挙げる。

当日配達が普及するにつれ、ECや小売企業にとっては商品の追跡を容易にするテクノロジーが重要性が増していると指摘。このことから、長期的にはブロックチェーンが「大量の取引データを日々処理するような小売業や物流業、配送業者」に“価値ある変革”をもたらすとの見方を示した。

企業の海外進出がさらに進展することでサプライチェーンがより長く複雑になり、製品を追跡するという課題が重要性が増している。二つ目は、こうした課題にブロックチェーン技術を用いることで「サプライチェーン上の製品流通の履歴は余剰在庫を減らし、コスト削減につながる」と、複雑化するサプライチェーンにおける追跡ツールとしての役割を果たすとの考えだ。

次に、「商品の原料から製造、販売に至るまでのライフサイクルの追跡」も可能になり、商品に対する不正行為や人為的なミスの防止や高額商品のセキュリティ強化へつながっていくとの予測。

四つ目は、物流に欠かせない「拠点」の面で関わりの深い不動産取引で、ブロックチェーン技術を用いたスマートコントラクトを使用することで売買手続きの完了や買手と売手間の権利、資産の移転が「不動産を購入した時点で即座に実行される」との見通しを示す。これによって仲介業務の省略が可能となり、購入手続きをより素早く行えるようになるとした。

最後は、売買記録を複製・偽造できないというブロックチェーン技術の特徴が不動産取引にもたらす可能性について「買手や売手、オーナー、テナント間の情報の透明性を高め、仲介業者等の第三者に支払うコストの削減、取引フ?ロセスの迅速な確認ができるようになる」として、不動産取引に大きな改革をもたらす可能性に言及している。

ただし、これらの予測の多くは長期的なもので、現在の段階については、同社の鈴木博之氏(サプライチェーン&ロジスティクスコンサルティング事業部長)が「企業グループ内、業種・業態内、国といったように、何らかのグループ内での情報の同期化にとどまっているというのが実情。(中略)実務的な観点からは、まだ初期段階にあるコンセプト・技術だ」と解説している。