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運輸・倉庫の雇用過不足指数が過去最高、TDB調べ

2018年11月5日 (月)

調査・データ「原油高を受け軽油価格が高騰し、経費が前年同月比で20%程度上昇している」「西日本豪雨により列車が運休し、非常に影響を受けた」「燃料単価が、吸収できるコスト幅を超えた」

これらはいずれも、帝国データバンクが5日発表した10月の景気動向調査で明らかにされた、一般貨物自動車運送事業者の声だ。

調査結果によると、同月の景気DIは9月から0.4ポイント下がって49となり、2か月連続で悪化。国内景気は、原油高を受けてレギュラーガソリン価格が8週連続で上昇し4年ぶりの高値を付けたほか、軽油価格や冬の需要期を迎えた灯油も高騰したことが、悪影響を及ぼした。

また、雇用過不足DI(正社員)が60.2と過去最高を更新し人手不足が深刻化するなか、最低賃金の改定もあり人件費負担が増加した上、野菜など食品価格や電気料金も上昇。また中国向け機械輸出に減速感が出てきたほか、日経平均株価が10月に入り3週間余りで3000円を超えて下落したこともマイナスに響いた。

国内景気は、原油高による燃料価格上昇や人手不足の深刻化などがさらなるコスト負担の増加を招き、弱含んだ。

運輸・倉庫の景気DIは48.7と、9月調査を0.8ポイント下回り、全体傾向と同様に2か月連続で悪化。雇用過不足DIも2か月連続で過去最高を更新するなど、貨物自動車運送を中心に深刻なドライバー不足が続いた。

10月に入って軽油価格が全国平均で一時1リットル4.6円上昇したことでのコスト負担増を招き、景況感を押し下げた。豪雨被害を受けた鉄道貨物輸送など、相次ぐ自然災害による物流混乱の影響が一部の被災地域などに残り、港湾運送や運輸付帯サービスなどにマイナスの影響を及ぼした。

先行きはどうか。

「荷主企業への単価値上げの効果を見込んでいる」(一般貨物自動車運送)「2019年計画に基づく予約が入ってきており、飲料全般が動いている」(梱包)、「ドライバーの維持・獲得が困難と予想される」(一般貨物自動車運送)などと物流需要が供給を上回り続けることを踏まえた見通しが大勢を占めているようだ。

人手不足に改善する兆しがない中、短期的に経営環境を左右する原油価格の動向が注目されるが、「燃料費高騰や規制の強化などで事業環境が厳しい」(特定貨物自動車運送)、「原油価格が低下する見込みがない」(一般貨物自動車運送)など、不透明さが続くと考える事業者が少なくないとみられる。