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貿易阻害措置解消へ、海運先進国の連携呼びかけ

2018年11月5日 (月)

ロジスティクス国土交通省海事局は5日、カナダ・モントリオールで10月29日と30日に海運先進国間会議が、31日と11月1日に米国・ワシントンで米国と海運先進国間の会議が開催されたと発表した。

海運会社が公正な競争条件の下で自由に活動できる環境を確保するため、日本は一部の国々で保護主義的な海事政策が広まっていることにつき懸念を表明し、同会議メンバーで連携して今後さらなる働きかけを行うことを確認した。

会議では、日本から「新造船発注を目的とした海運助成措置は需給バランスや公平な競争環境を歪曲し、海運市況回復を妨げる恐れがあること」を指摘し、各国から支持を得た。これらの措置が是正されるようCSGメンバー国で連携して取り組む旨を確認した。

米国、ロシア、インドネシアなどの一部の国で特定貨物の輸送に際し船籍や船社を自国に限定する規制について検討し、(1)海運自由の原則に反し公平な競争環境を阻害すること(2)海運会社への不当な参入障壁になることから、それぞれの国に対してこのような規制を撤廃するようCSGメンバー国が共同で働きかけることを確認。

バラスト水管理条約に基づき、現在運航している外航船は、2019年以降最初の定期検査日までにバラスト水処理装置を搭載する必要があるが、この搭載期限が2022年に集中すると見込まれることから、搭載工事の集中による混乱等を避けるため、我が国からCSGメンバーに対し、各国政府が海運業界に対して22年から前の搭載工事の実施を呼びかけるよう求め、多数国の支持を得た。

米国バラスト水管理規制については、米国はバラスト水管理条約に代わる自国独自のバラスト水規制を導入しているが、このため、国際条約に基づき承認されたバラスト水処理装置が、米国内では違法とされる恐れがある。米国政府による承認手続きがこれまで進んでいないことから、現在米国政府が導入している、国際条約で承認されたバラスト水処理装置を認める措置を適切に延長するよう、CSGメンバーから米国に対し申し入れた。

このほか、国際海事機関(IMO)でのEEDI規制強化に向けた検討が十分なデータ等の分析を踏まえた技術的に適切なものとなるよう、我が国からの呼びかけに対しCSGメンバー間で、必要なデータを提供することや、IMOでの検討プロセスに積極的に参画することの必要性を確認した。

海運先進国当局間会議(CSG会議)は、国際海運市場への自由アクセスを確保するため、18の海運国の担当部局の協調行動に向けた検討を行う会議で、毎年1回開催されている。1962年の発足時から、海運政策の連携のあり方について検討するとともに、米国をはじめとする一部の国の国際海運市場を歪曲する規制に対して共同で働きかけを行っている。

また、2年に一度、米国関係当局とCSGメンバー国との間での政策対話(US-CSG会議)を開催している。