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郵便事業、域内輸送の積載率向上へ発着管理を拡大

2012年6月21日 (木)

話題会計検査院が20日郵便事業の宅配便事業における積載率向上の取り組みが十分でないなどとして、同事業の改善を求める意見表明を行ったことを受け、郵便事業は21日、本ニュースサイト「Logistics Today」の取材に応じ、自社の取組状況を説明した。

 

発着システムの概要と機能改善に向けた取組状況

発着システムの概要と機能改善に向けた取組状況

同社は宅配便事業の収益改善に向けて2009年11月、地域間輸送(統括支店間の輸送)を対象に発着管理システムを導入し、昨年4月には運送便への積載状況を把握するため、荷物情報を常時取得できるよう、同システムの機能改善を実施した。

 

この取り組みにより、同社の地域間輸送の積載率は80%台へ大幅に改善したことから、今月から地域内運送便でも全国15統括支店の管轄エリアを対象に、適用を拡大した。

 

会計検査院が20日の意見表明で問題視したのは、地域内便で積載率を常時把握できない状況にあることと、その改善努力が不十分だという点だった。郵便事業では、2年以上かけて、運送委託費の金額が大きい地域間便からシステムを導入し、機能改善と平行して適用範囲の拡大を進め、今月から地域内便への適用を開始したところだったが、その矢先に会計検査院から指摘を受けたことになる。

 

また、物流専門サイトを含む一部メディアが、地域内便の空きスペース相当額の76億円を無駄であるかのように報じた。同社の積載率は48.1%と一般的な物流事業者と同程度の水準であり、空車率も11.9%と取り立てて高いものとはいえないが、「76億円が無駄」「11.9%が空で輸送」といった見出しによる報じ方は、積載率が100%でなければ無駄であるかのような捉え方をされかねない。

 

同社広報室では「宅配便事業では送達日数などのサービスレベルを維持しながら、(非効率と)指摘された地域内便でも積載率向上にむけて取り組みを進めている。48.1%という積載率を高いとは考えておらず、地域間便のような高い数値を目指して準備を進めていた。常に収益改善に向けた取り組みを行わなければならないが、物流の実情からかけ離れた指摘に対しては、正しい情報を主張していきたい」と話している。