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会計検査院、「宅配が非効率」と郵便事業に改善要請

2012年6月21日 (木)

行政・団体会計検査院は20日、郵便事業の宅配事業が「運送便を経済的、効率的に運用していない事態」にあると指摘し、積載率の向上や減便、車両の小型化、車両の空きスペースの活用など、事業改善を求める意見を表明した。

 

会計検査院は郵便事業の宅配便事業のうち、本社、全国11支社とその管内の15統括支店における、2010年7月から11年3月までの9か月分を対象に調査を実施した。調査結果によると、郵便事業が期間中に宅配便事業でトラックなどの自動車に運送委託した総額は998億円で、このうち統括支店間の輸送を行う地域間運送便が512億円、地域内便が485億円だった。

 

さらに、地域内便のうち15統括支店が取り扱った宅配荷物に占める運送委託費は148億円で、同社の往復のパレット満載状態を100%とした場合の積載率が48.1%であることから、76億円分が空きスペースに相当すると算定した。また、往路か復路で荷物を積んでいない状態で運行した空車率は、11.9%であることが分かった。

 

会計検査院が問題視したのは、郵便事業が地域内便の積載率を把握できていない状況にあることと、それに基づく積載率向上の取り組みが不十分となっていることの2点。

 

具体的には、日本通運の宅配便事業「ペリカン便」と統合した後、地域間便については発着システムを整備して積載率を常時把握できるようにしたことで、1年で積載率が10ポイント向上したとして、その取り組みを評価したものの、地域内便については常時把握ができない状態となっていたことから、「経済的、効率的に運用していない状況」と指摘した。

 

こうした調査結果に基き、会計検査院は地域内便についても運送委託費の節減を図るとともに、運送便を効率的に運用するよう、郵便事業社長に宛てて意見表明を行ったもの。

 

意見表明では、地域内便でも発着システムを整備して積載効率の常時監視体制を構築するとともに、積載率向上に向けたシステムの機能改善を検討し、積載状況に応じて臨時便や補助便の減便につなげたり、車両の規格を小さいものにしたりできる体制を整備することや、車両の空きスペースを活用する方策を検討するよう求めた。

 

■会計検査院が表明した意見全文のURL
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/24/pdf/240620_zenbun_1.pdf