産業・一般全国農業協同組合連合会(JA全農)と物流子会社の全農物流は27日、荷待ち時間や手作業による荷卸しの削減、付帯作業の合理化など、物流の改善提案に積極的に応じていくことを柱とする「自主行動宣言」をホワイト物流推進運動事務局に提出した。(赤澤裕介)
国土交通省、経済産業省、農林水産省は、全国6300社に対して呼びかけているホワイト物流推進運動への参加要請に呼応したもので、「深刻化が続くトラック運転者不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与する」という運動の趣旨に賛同し「トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化を通じ、女性や60代以上の運転者が働きやすい、よりホワイトな労働環境の実現を目指す」と宣言した。
JA全農の自主行動宣言では、荷待ち時間や手作業による荷卸しの削減、付帯作業の合理化といった物流事業者からの求めに応じ、「真摯に協議」に臨む方針を明示したほか、パレットやカゴ台車を活用して手荷役時間の削減に取り組む。幹線輸送部分と集荷配送部分の分離相談が寄せられた場合の協議にも応じる。
また、配送拠点の整備、保管倉庫の活用を通じ、集荷先や配送先の集約を図ることで物流の効率化につなげ、運転業務と運転以外の付帯作業の分離を求める声にも対応。長距離輸送をフェリーやRORO船、鉄道などに置き換えるモーダルシフトにも積極的に取り組む。
JA全農ではこれまで、青果物、農薬や農業機械部品を対象にJAや県域を越えた広域物流拠点を整備して効率化を図り、農産物や肥料の物流にはパレット流通を拡大させる活動を推進してきた。モーダルシフトも「タンクローリーを使った生乳輸送」に適用し、運転時間の削減と環境負荷の低減を図る計画が認められ、2018年8月に国交省のモーダルシフト効率化事業の認定を受けている。
JA全農では「今後も自主行動宣言のもと、安全安心な国産農畜産物を消費者に届けるとともに、農家・組合員の営農や生活を支えるため、物流課題の解決を図り、持続可能な物流の確保に取り組む」としている。
一方、全農物流はJA全農と共通の取り組みテーマとして、(1)物流の改善提案と協力(2)パレットなどの活用(3)運転以外の作業部分の分離――を掲げたほか、独自に「発注量の平準化」と「荷役作業時の安全対策」という、より現場に近い対策を盛り込んだ。
発注量の平準化に向けた取り組みでは、荷待ち時間の短縮と併せ、月ごとの波動などの繁閑差の平準化を進め、運行効率を高めていく。荷役作業時の安全対策としては、労働災害の発生防止を目的に安全な作業手順の明示、安全通路の確保、足場の設置などの対策に努める、とした。