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SBS、交通事故削減へピレニーの車載AI開発に協力

2019年12月23日 (月)

話題ピレニー(東京都千代田区)は23日、SBSロジコムとドライバー用AIアシスタント「ピレニードライブ」の開発で業務提携を行ったことを発表した。

「ピレニードライブ」は、来夏発売のダッシュボード上部に設置するドライブレコーダー型のAIアシスタント機器で、本体内部にAI計算の主流となっている米・エヌヴィディア製のGPUを搭載。外向きの複眼カメラと内向きのカメラで、道路上の歩行者・自転車・自動車とドライバーの視線の動きなどを検知して危険予測を行い、音声とモニターでドライバーの運転をアシストする。

今回SBSロジコムが協力するのは、「ピレニードライブ」をトラックに搭載した場合の性能試験と交通データ収集に関する部分で、同社は「姉ヶ崎自動車教習所」を提供し、公道では実施が難しい衝突模擬試験に協力するほか、グループのトラック1000台に試作機を搭載して実証データの収集に協力する。

▲「ピレニードライブ」背面の複眼カメラ(左)とAIによる映像解析の様子(右)

▲ピレニーの三野龍太CEO

ピレニーの三野龍太CEOによると、これまでの試験ではトラックでも正確に物体を認識することが確認されており、トラック独特の視野を継続してAIに学習させることでトラックでもその能力を発揮できるという。

ピレニーの三野龍太CEO「トラックに搭載した場合でも事故防止性能を発揮できるようにすることは、開発当初からの大きな目標だった。今回の提携により、製品開発が大きく前進することを大変嬉しく思う。搭載試験のほかにも、SBSロジコムのドライバーの経験談や危険予知のノウハウを聞くことが、AI開発に大いに役立っている。交通事故の原因の94%はヒューマンエラーで、そのほとんどは見落としによるもの。人間の見落としをAIでサポートすることで、交通事故を限りなくゼロに近づけていきたい」

開発協力を行うSBSロジコムは、グループの方針に「交通事故ゼロの追求」を掲げており、ピレニーの開発動機に共感。同社の鎌田正彦代表は、「道路という社会の公器を使い営業する我々が、交通事故の撲滅に取り組むことは当然の義務。ピレニーの安全に対する考え方は大変共感できるもので、今回の提携で開発スピードを加速してもらい、当社車両にも早期に設置をしたいと願っている」と話した。

▲試作機の画面にはナビ・予定・通話・天気・録画などの機能が表示されている

「ピレニードライブ」は、3つのカメラと本体搭載のAIによる危険予知と、音声・モニターによるドライバーアシストが最大の特長であるが、加えてLTE通信機能を搭載しているため、サブ機能の発展性に期待が持てる。今回の提携でSBSロジコム側を担当しているのは、求貨求車・動態管理などを提供する「iGOQ」(イゴーク)チーム。今後の開発協力の中で物流に特化した機能を搭載する可能性が考えられる。ピレニーの三野龍太CEOは、「ナビゲーション、通話、スケジュール管理機能などを搭載する予定で、物流向けに自動日報機能の追加やIP無線アプリの連携などは難しくない。大型車両向けに側方・後方カメラの追加も検討している」と話す。両社の業務提携で、交通事故の削減と物流業務の効率化を実現する画期的な製品となることを期待したい。

「ピレニードライブ」の紹介動画

▲衝突模擬試験の様子(左)と開発を行う両社のチームメンバー(右)