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加勢に労基法違反、無理な発注と管理不足が原因か

2020年1月16日 (木)

国内北大阪労働基準監督署は14日、同日付で加勢(本社:大阪市中央区)ほか1人を労働基準法違反の疑いで書類送検したことを発表した。

同社は、2018年3月から4月にかけて、物流拠点の1つである「門真フォースパーク」(大阪府門真市)の倉庫内作業者に対し、36協定の協定範囲を超えて時間外労働をさせていた疑いがもたれている。

同社の松野辰也取締役は取材に応じ、2か月で140時間程度の時間外労働があったことを認めた。全社統一の36協定を結んでいたが、繁閑波動が避けられない倉庫現場の実態に即しておらず、当該事業所に係る36協定が結ばれていなかったことと、繁忙期対応で現場に負荷がかかる中で、会社側の管理が不足していたことが原因だという。

事実発覚後、同社は36協定と管理体制の見直しを行うなどの対策をとったほか、荷主に対しては個別交渉を行い、無理な発注・計画に対しては一定の線引きを設けた。当該従業員は現在も在籍している。

松野取締役は、「発注が集中する時期にも責任感を強く持って対応していた中で発生したことで、やりきれない思いがある。物流会社は荷主の発注に対して応じるしかないのが現状で、断れば他社にまわされる不安がつきまとう」と話し、物流会社の置かれている状況を吐露した一方で、「違反したことは事実。二度と起こさない覚悟で管理体制づくりを行い、荷主との交渉を続ける。昨年以降、交渉の成果も出ている」と、違反事実を真摯に受け止めて改善していることを強調した。

商流のしわ寄せを受けることが多い物流業界は、中小企業が大半を占めており、まだ荷主・元請けに対して声を上げることが難しい状況にある。状況改善に向けた「ホワイト物流」推進運動の推奨項目には「契約の相手方を選定する際の法令順守状況の考慮」というものがあり、多くの荷主・大手物流企業がこれに取り組むことを宣言しているが、「NO」と言わない事業者ばかりと付き合うことが、自身の首も絞めてしまうかもしれないことを今一度考える必要がありそうだ。また、受注側も自社の従業員に過度な負荷がかかるような受注体制は、大きな事故につながる前に見直す必要がある。