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需要の偏りと中国混乱が荷主・物流に影響、JILS調べ

2020年3月19日 (木)

調査・データ日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は18日、新型コロナウイルスの物流への影響について、緊急アンケートの結果をまとめて公表した。このアンケートは、JILSの会員を対象に3月11日から13日までウェブ上で実施していたもので、182社から有効回答を得た。

結果をみると、需要の偏りによって商品・製品の販売が急激に増加したものと急激に減少したものに分かれ、これに中国国内の生産・物流停止と船便・航空便の遅延や供給不足が加わったことで、調達先・出荷方法の変更、輸配送頻度の増減などの対応が発生していることが分かる。

一方で、荷主・物流企業の一定数は「影響なし」としていることから、取扱品目や地域によっては全く影響がないか、まだ影響が伝播していないことがうかがえる。

新型コロナウイルスの感染対策については、「生産体制を二分化し、製品供給を止めない体制を作っている」(製造業)、「基本的に同じメンバーで休憩を取得してもらい、感染者確認時に濃厚接触者を特定できるようにしている」(流通業)といった声が聞かれた。また、すでに発生している影響について「感染者が出た施設へのドライバーの配達拒絶」(運輸業)という新たな課題を指摘する声もあった。

主な質問項目と回答の詳細は次の通り。

■荷主企業

(1)感染拡大で物流面の課題が発生したか

(出所:JILS)

・中国を中心とする海外拠点生産調整に伴う部品出荷調整、航空便数削減に伴う代替え輸送対応(製造業)
・中国との輸出入や中国国内輸送の停滞による遅延等が懸念されたが、輸送物量そのものが減少したことと、フォワダーや輸送会社の対応により大きな混乱はなかった(製造業)
・物量大幅アップによる在庫、横もち、増車対応(流通業)
・実質的に不特定多数の人の流入がある物流センターの防疫対策が課題(流通業)

(2)国内取引先からの調達・仕入れに影響があるか

(出所:JILS)

・国内取引先の中国工場生産の部品調達に遅れが発生し、納期に間に合わないため別のメーカーに調達先を変更した(製造業)
・現時点では影響が出ていないが、長期化となると今後資材入荷遅れが生じ生産に影響(製造業)
・マスクの仕入減少、一部取引先納品遅れや中止、納入数量制限、物流ネックによる在庫過多と滞留による偏り(流通業)
・米、家庭紙など日用品の需要に取引先倉庫での作業が追いつかず、遅納が発生(流通業)

(3)海外取引先からの調達・仕入れいに影響があるか

(出所:JILS)

・中国品から日本品、東南アジア品へ購入先のシフトを行った(製造業)
・現時点では、影響が出ていないが、長期化となると今後資材入荷遅れが生じ生産に影響(製造業)
・中国産のみならず、中国経由の商品の流通に遅れ、日々状況は変化している(流通業)
・輸入繁忙期のため多大な影響が出ている(流通業)

(4)国内取引先に向けた受注・納品・販売に影響があるか

(出所:JILS)

・まだ極端には影響が出ていないが、若干海外からの製品輸送リードタイムが長くなっている地域がある(製造業)
・量販店、通販用の商品が大幅な受注・販売増となり在庫少なく生産予定に影響が生じている(製造業)
・一般家庭向け加工食品は大幅受注により欠車など発生、外食関係向けは荷動きが悪い(製造業)
・マスク、消毒剤、医薬品にメーカー出荷制限が掛かっている(流通業)

(5)海外取引先に向けた受注・納品・販売に影響があるか

(出所:JILS)

・特に中国向けの製品に関して、中国国内の港湾業務が止まっているため、出荷できない状況がある(製造業)
・中国工場の停止による輸出用部品が国内に在庫として工場に滞留している(製造業)

(6)業績への影響はあるか

(出所:JILS)

■物流企業

(1)感染拡大により業務上の課題が発生したか

(出所:JILS)

・一部荷主の生産、出荷が大きく減少し、輸送量が減少、乗務員の水揚げ確保が難しくなった(運輸業)
・荷主企業から運転手のマスク着用を義務付けられたが、入手困難なため対応に苦慮している(運輸業)
・感染者が出た施設へのドライバーの配達拒絶(運輸業)
・倉庫内作業、納品現場ではテレワーク等出来ないため、安全上の配慮がスタッフ部門のようには出来ない(利用運送・物流管理業)
・海外事業体で部品が欠品しそうになったため、 日本からエアーで部品輸送を行った(物流子会社)

(2)2月以降に例年より物量が増加しているアイテムはあるか

(出所:JILS)

(3)2月以降に例年より物量が減少しているアイテムはあるか

(出所:JILS)

(4)業績への影響はあるか

(出所:JILS)