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新居浜市教育委員会「日本を支える物流関係者に不快な思いさせてしまった」

小学校でトラック運転手世帯の登校自粛、撤回し謝罪

2020年4月9日 (木)

話題愛媛県新居浜市の教育委員会は9日、同市の市立小学校が、新型コロナウイルスの感染が拡大している東京や大阪を行き来する長距離トラック運転手の2世帯に対し、子どもを登校させないよう求めていたとする読売新聞の9日付の報道について、その事実を認め謝罪した上で背景を明らかにした。

この2世帯の子ども3人は、8日の入学式と始業式を欠席。市教委の高橋良光教育長がこのことについて謝罪し、学校側も保護者と関係者に対して謝罪した上で登校自粛の要請を撤回した。

(イメージ画像)

市教委は新学期が始まる前に、市内の全児童の家庭に対し、家族や児童が感染拡大地域を訪れたかをアンケートで調査。学校内の感染を防ぐ目的で行われた同調査は、(1)感染拡大地域を訪れた人が家庭内にいる、かつ(2)家庭内に体調不良の人がいる――この2つの条件を満たす家庭があった場合に、学校側に該当児童の登校自粛を検討するよう求めるためのものだったが、市教委と学校側で情報共有が徹底されておらず、学校側は(1)の条件だけに該当するトラック運転手の家庭に対して登校自粛の要請を行う判断を下した。

市教委の説明によると、学校側は、トラック運転手の家庭から「運送会社に勤務しているため、仕事で感染拡大地域に訪れた。これは該当するか」との問い合わせを受け、市教委に確認を求めたが、その際に同家庭は(2)の条件に当てはまらないにもかかわらず、市教委がその判断をめぐり曖昧な回答をしてしまったという。最終的な判断は学校側だが、感染防止に向けて慎重な姿勢をとっている学校側に曖昧な回答をしてしまった市教委側にも責任がある。

(イメージ画像)

また、今回トラック運転手の2世帯だけが登校自粛になったことについては、「同小学校の児童のうち、偶然トラック運転手の家庭だけが1つ目の条件に当てはまったために生じたことで、職業差別と捉えられるような意図は全くなかった」と説明。その上で、「対象となった家庭の保護者を含め、昨今の状況の中で日本を支えてくれている物流関係者に不快な思いをさせてしまったことを本当に申し訳なく思う」と陳謝した。

事実だけを見れば職業差別とも受け止められる今回の件は、国民の生活を維持するために必死に業務を継続している物流関係者にとって、今後絶対にあってはならない事態で、一生に一度の入学式に1人だけ異なる事情で出席できなかった児童のことを思うと簡単に許されるものではないが、これをきっかけに、各地で同様のケースを起こさないよう注意が広がることを願う。