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パナソニック、藤沢市で小型低速ロボ配送検証

2020年12月7日 (月)

国内パナソニックは7日、神奈川県藤沢市の「フジサワ・サスティナブル・スマートタウン」で、小型低速ロボットを使った住宅街向け配送サービスの実証実験を実施すると発表した。年内に公道走行検証を行い、2021年2月から実証サービスの提供と検証に進む。

この取り組みは、7月に定められた国の成長戦略実行計画の「低速・小型の自動走行ロボットの社会実装に向けて遠隔監視・操作型の公道走行実証を実施する」という方針を踏まえて実施するもので、12月24日まで「フェーズ1」として自動走行ロボットの公道走行実証を行う。

具体的には、管制センターと自動走行ロボットを公衆インターネットで接続し、管制センターのオペレーターがロボット周囲の状況を常時監視。自動走行ロボットは障害物を回避しながら自律走行し、自動回避が困難な状況では管制センターからの遠隔操作に切り換えて走行する。

来年2月から3月にかけて行う「フェーズ2」では、ロボットを利用した新たな配送サービス体験に対する受容性を検証するため、ロボット利用による配送サービスの省人化、スマートフォンのアプリを用いた非対面での荷物や商品の受け渡し、ロボットと遠隔管制センター間での対話機能によるコミュニケーションーーなどを実施して確かめる。

必要不可欠条件の整備も急を告げている

自律走行・受け渡しの両立は自動配達の二大要素だが、その完成は目前までやってきている。実用化に向けた各種ビークルの開発進捗は素晴らしいの一言に尽きる。かたやで「公道走行」にあたっての課題は山積していることも無視できない。

ここでいう公道とは「実証用に選定された特定区画地」だけを指しているのではないということわりも補足しておく。

走行にあたっての障害物感知や緊急停止の機能は十二分に研究されているに違いない。しかし自走するビークルが制御できない諸事への最大公約数化をどこまで大きくできるのかには、まだ検証の余地が多いはずだ。

突発的な路面環境の変化や天候急変、ビークルの存在や運行に無意識で無感知の歩行者や走行車両との相互認識による渋滞や事故の回避――ネガティブになりがちな課題をどう解決し、どこを切り捨てて当面の及第とするのか。

実用化してから見知りできる事象は多いはずだが、本番で練習するのは危険や実害のリスクが大きすぎる。省人化や合理化には効果抜群であることに疑いはないが、実用開始までのロードマップはまだまだ頻繁な書き換えを伴うことになりそうだ。(企画編集委員・永田利紀)