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全日空、今度はコンテナへの自動積付+輸送自動化

2020年12月7日 (月)

▲新開発・国内初の航空コンテナ用手荷物積み付けロボット(出所:豊田自動織機)

調査・データ全日本空輸と豊田自動織機は7日、九州佐賀国際空港の貨物上屋と上屋前の制限区域内で、手荷物積み付けロボットによるコンテナへの自動積み付けと自動運転トーイングトラクターを一体運用する実証実験を14日から18日まで実施すると発表した。

同社はことし9月から10月にかけて、天吊りのアーム型ロボットによる貨物カートへの自動積み付けを実証していたが、今回は床に設置するタイプのアーム型ロボットが貨物コンテナへの自動積み付けを行う。

▲自動運転トーイングトラクター(出所;豊田自動織機)

また、前回の実証実験でも行っていた自動運転トラクターによる航空機への無人搬送(運転者乗車)を、今回は完全無人状態で運行し、これらを一体運用することで、一連の自動化に課題がないかを検証する。

今回使用するロボットは、国内初の航空コンテナ用手荷物積付けロボットで、スーツケースのサイズを自動で読み取り、効率よく荷崩れの少ない積み付け位置を自動で演算し、荷物を並び替えながら2つのコンテナへ同時に積み付けることが可能。また、ソフトとハードのスーツケースの両方に対応し、25秒に1個のペースで最大35キロのスーツケースを積み付けるという。

▲自動運転トーイングトラクターの走行ルート(出所:豊田自動織機)

機体のハイテク化とは対照的だった地上業務だが

航空機のテクノロジーについて語る立場にはないが、空港での貨物取扱作業にいくつかの改善点があることは、業界関係者なら周知の事実だろう。総論としては好感を持てるが、これが空港ではなく港湾や一般の大規模倉庫なら取り立ててニュースにはならないはずだ。

画期的な点は「人によらない作業である」ということで、今までは属人業務が概ねだったのだろうとも読み取れる。それに物申しているのではなく、深刻な経営危機に直面している二大航空会社にとっては、合理化や効率化が省人化や自動化と同意となる部分が過半を占めるだろう。

雇用の維持という視点ではネガティブかもしれないが、収益性の回復と競争力の向上という視点では前向きに受け止められるだろうし、事業寄与度は大きいはずだ。貨物業務の拡大に活路を見出すためにも、陸の巨人たるトヨタグループによる協力を得て、さらなる効用を得てもらいたいと願うばかりだ。(企画編集委員・永田利紀)

全日空、佐賀で手荷物積付+輸送自動化の接続実験